デフレが終わり、物価が上昇するワケ新連載・岡村流、30代から始めるグローバル投資術(1)(2/4 ページ)

» 2011年08月04日 08時00分 公開
[岡村聡,Business Media 誠]

今後の日本経済は為替がカギ

 皆さんもご存じのとおり、今の為替は円高の状況です。最近、「なぜ経済が低成長で、震災もあった日本の通貨が強いのでしょうか?」といった質問をよく受けます。実は、現在の円高局面を読み解くカギは「デフレ」なのです。

 まず、下記の図1をご覧下さい。経済評論家でも間違ったことを言っている人がいるのですが、為替に対しては、経済成長率よりも物価の推移が重要になってきます。デフレであるということはモノの値段が下がっているということなので、為替がそのままであれば、外貨建てのモノの値段が下がります。価格が下がれば、競争力が増して、輸出も増えます。輸出が増えると、外貨を日本円に替える需要も増え、円高になります。これが、“デフレ日本”の通貨が強くなるという、円高のメカニズムです。

なぜデフレで円高が進むのか(図1)

 日本のデフレの原因は、少子高齢化で需要が減少し供給設備が過剰になっていることと、安価な労働力が豊富なアジアと地理的に近いという、構造的な要因です。ここ10年、いくらゼロ金利政策を続けても、この構造的な要因が取り除かれていないので、積極的に資金を借りて事業拡大を図る人は少ないのです。そのため銀行から世の中にお金が出ていきません。銀行は、貸出が伸びないため国債ばかり購入し、社会で循環するお金の量が少ないため、デフレが続くというサイクルになっています。つまり、今後しばらくは円高傾向が続くと考えられます。

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