図3に簡単な試算をまとめました。日本の公的な長期債務は約900兆円。そこから、政府が保有する米国債などの流動性の高い金融資産を差し引いた、約800兆円が政府の純債務と考えられます。対して、日本の個人金融資産は約1400兆円で、そこから住宅ローンなどの個人の借金約350兆円を除いた約1050兆円が、日本人の純資産です。
ここから政府の純債務、約800兆円を引くと、実は約250兆円しか余裕はありません。政府は毎年約40兆円の国債を新規発行しているので、実はあと5〜6年ほどしか国内で安定的に消化できないことが分かります。震災の復興に10〜15兆円の追加国債の発行も検討しているので、このタイミングは早まるかもしれません。
日本の信用不安が顕在化すると、円への信頼が落ち、為替は大きく円安に振れるでしょう。日本は食糧やエネルギーなど生活物資を輸入に頼っている国なので、円安は、インフレにつながります。そして、インフレは上記で解説したメカニズムによりさらなる円安の原因となり、またそれがインフレを悪化させるというスパイラルに入りかねません。そうなると、いくら預貯金があっても、物価がどんどん上昇して、資産の実質価値が落ちてしまいます。
このように日本には厳しい未来が待っています。そんな中でも、個人向けの投資があると思っています。次回以降、オススメの資産防衛術を紹介していきます。
次回、8月11日掲載予定。
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