「MBA取得で違う職種にチャレンジできた」――普通の26歳がコロンビア留学で得たもの活躍するMBAホルダーたち(2/3 ページ)

» 2011年08月16日 11時00分 公開
[MY MBA.JP]

仕事を通じて社会の役に立とうとしている先輩MBAの姿を見てモチベーションが高まった

――ビジネススクールを受験するにあたっての情報集めは?

加藤 どんな学校があるのか、そのための準備はどうしたらよいのかといったころは、いわゆる留学受験校や友人から聞きました。私はまっさらの状態から受験準備を始めましたので、受験校に行って情報収集をしたり、同じ目的を持った人と知り合うことはとても重要でした。受験校なしでは、ビジネススクールの合格は恐らく成し遂げられなかったと思います。

 学校選びに関しては、色々な業種で役に立てる人間が育成できるところ、内容があまり偏っていない学校にしようと考えていました。あと、ファイナンスについて学ぶなら、ウェストコーストよりもイーストコースト、ニューヨークかボストンの学校が良いだろうと思いました。最終的にコロンビアに決めたのも、ニューヨークというファイナンスに強い場所にあるというのが大きかったです。

――英語は元々お得意でしたか?

加藤 いえいえ、それが全然得意ではなかったです。大学4年まで単位を落としていたくらいですから。準備期間の中で徐々に慣らしていったというところですね。

――お勤めしながらの受験準備は大変だったのでは?

加藤 勉強は仕事が終わった後の、夜と週末だけで行いました。でも、身体が慣れれば大丈夫ですよ。私の年代ではまだ夜の接待などがほとんどありませんでしたから、時間を有効に使うことができました。残業もあまりなかったですね。受験準備の期間は1年くらいでした。TOEFLやGMATに関しては、何回も受けられる試験でしたから、そんなに緊張もせずにやっていました。やり方は受験校で慣れていましたので、戸惑うこともありませんでした。

 受験の準備において大切なのは、なぜ自分が留学したいのかを明確にすることだと思います。MBAの取得が自分のキャリアとどう結びついていくのか?、それがとても良いものであれば、モチベーションが上がるじゃないですか。良いものかどうかよく分からないのに着手しても、一生懸命にはならないですよね。だから始めるに当たっては、できるだけ「ゴールを達成したらこれだけ良いことが待っているんだ」と自分に思い込ませるような情報の整理が必要だと思います。

 私の場合は、つてをたどってビジネススクールを卒業した人に会って話を聞き、その中から必要な情報を取捨選択をしていったのがうまくいった要因だと思います。仕事を通じて社会の役に立とうとしている方の姿を見ることで、やはりMBAの勉強をすることで、自分がより社会に役立つ人間になれるなと実感しました。そこからは、勉強もより一生懸命になりましたね。

――私費留学の費用負担や、キャリアに2年間のブランクが空くことへの不安はありませんでしたか?

加藤 費用はかなりかかりましたが、これは自分への投資だと割り切っていましたから気にはなりませんでした。2年間のブランクに関しても、不安は全然なかったですね。私はMBAを取得した暁には、新しい仕事を探そうと思っていましたので、前の会社におけるポジションなどの不安はまったくありませんでした。

一番大変で面白い授業がコンサルタント・投資家へ進むきっかけに

加藤健氏

――学生生活は順調でしたか?

加藤 私はそれほど英語ができる方ではなかったので、割と机に向かって勉強している時間が長かったと思います。しかし、それ以外の時間には、同じ学年の日本人やアジア人を中心にしたホームパーティーに参加していました。もちろん勉強はそれなりに忙しかったですが、とても楽しかったです。

――授業についていくのは大変でした?

加藤 授業の難しさは教科によりますね。ついていけなくて困るという教科はそれほどなかったと思います。私はマーケティングとファイナンスを中心に講義を選択していましたが、やはり数字を出していく教科は解りやすいので、問題ありませんでした。

 日本人が不得手と言われているディスカッションやディベートは私も苦手でしたが、コロンビアの授業では、発言をしないと下から切られるというような感じではなかったと思います。加えて、当時は“Japan as No.1”の時代ですから、日本についてどう思うか、日本ではどうやっているかといった話がよく出てきて、発言するチャンスが比較的多かったのです。

 恐らく、私たちの時代はMBAの学生として一番やりやすい時期だったと思います。とにかく、「日本ではどうやっている?」という話を先生も聴きたがっているような状況でしたから。

――特に印象に残っているような授業はありますか?

加藤 一番印象に残っているのは、ホイットニー先生のManagement of Turn Aroundという授業でした。会社をどうやって再生(=ターンアラウンド)させるのかという内容です。財務面、組織面など、ありとあらゆるところから物事を見て、経営をどう改善していくのかを考えるのですが、今まで私が携わったことのない切り口で物事を見ていくのは新鮮でした。その後、コンサルタントや投資家として企業を見ていく上での最初のとっかかりというのは、その授業にあったように思います。一番大変でしたが、同時に一番面白かった授業として印象に残っています。

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