転職を考える前に、私たちがしなければいけないこと(後編)仕事をしたら“グラッ”ときた(1/4 ページ)

» 2011年10月04日 08時01分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 「東日本大震災を機に、働き方が変わった」という人も多いのではないだろうか。リクナビNEXTが行った調査によると、約4割のビジネスパーソンが「震災後、働き方の価値観が変わった」と回答した。

 『仕事をしたらグッときた』前編ではアンケート結果を基に、黒田真行編集長に分析・解説していただいた。そして後編では景気低迷が続く中で、ビジネスパーソンはどのように対応していけばいいのか。生き残るヒントを、黒田編集長にうかがった。聞き手はBusiness Media 誠編集部の土肥義則。

就職・転職市場の変化

土肥:黒田編集長は四半世紀に渡って、就職・転職市場を取材されてきました。この間、どのような変化がありましたか?

黒田:バブル崩壊以降、過去20年間に企業の収益性が大きく低下しました。成果型への切り替えや正社員・非正規社員の割合の変化、福利厚生の待遇、終身雇用制の崩壊……。収益基盤の弱さはいろいろと影響が出ていて、雇用する力そのもののが低下してきています。

土肥:厚生労働省の就業実態調査によると、昨年10月時点でパートタイムや契約社員、派遣社員などの非正規社員が全体の38.7%と過去最高に達しました。

(クリックしてすべてを表示、出典:厚生労働省)

黒田:残念ながら、その数字はさらに高まる可能性があります。もしかすると、3〜5年後にはその比率が逆転するかもしれません。

土肥:そうなると正社員として働こうとしている人は「自分は正社員になれないのかもしれない」、正社員の人は「自分もいつかは非正規社員になるかもしれない」と不安に感じるでしょう。

 正社員でいることが難しくなることが予想されますが、ビジネスパーソンはそうした時代にどのように対応すればいいのでしょうか。

黒田:本当の問題は、雇用形態ではなく、雇用形態によって報酬や社会保障に格差があることだと考えています。例えば年収1500万円のフリーターが数多くいる世の中になれば、雇用形態にとらわれない人はもっと増えるはずです。ただ、業務成果の評価や処遇格差の解消は、まだ進化しきれていません。また、見通しの立たない経済環境は仕事の継続性に対する不安の元にもなっています。

 個人の視点でいえば、有名なダーウインの話と同様、「生き残るのは強い者や賢い者ではなく、変化に対応できた者だ」という時代が近づいています。「国や会社が何もしてくれない」と嘆くばかりでは、ますます自己防衛が難しくなります。原則は、自分のことは自分で守る。戦って勝ち残る。生き残るためには自ら戦いを仕掛けていかなければいけないシーンも増えていくでしょう。

 企業基盤の変化速度と、働く側の価値観の変化にギャップがある。「会社はきっと何かをしてくれる」と期待ばかりしていると、さらにギャップが広がる可能性があります。

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