円売り介入効果も薄れ、大幅下落で安値引け清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年11月02日 16時11分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株が連日の大幅下落となったことやユーロが軟調となったことから売り先行となりました。ただ、昨日の下落で米国株下落の要因をある程度織り込んでいたことに加え、外国人も金額で買い越しと伝えられたこともあり、寄り付きの売りが一巡となった後は底堅さもみられました。その後はユーロが軟調となるに連れてじりじりと値を崩す展開となりましたが昼の時間帯などに好決算の発表や業績上方修正となる銘柄もみられ、下げ渋りとなりました。地合いの悪い中で好材料に反応する動きも限られて戻りの鈍さがみられると飛び石連休を控えて手仕舞い売りも嵩み、結局は大幅安水準から戻りきらずに終わりました。

 いつもこのコラムで述べているのですが、海外市場の下落要因などでも、巷に伝わる要因だけではなく、本質的な要因をしっかりと把握しておくことが必要だと思います。本日の下落も米国株が大きく下落したことが要因ですが、米国株の売られた中身を見ると、ひとつは金融不安からの金融株売り、これはおそらく銀行に対する規制強化で資産の圧縮などが懸念されるということで売られた面もあると思われます。

 ギリシャ問題などを言われることが多いのですが、実際にギリシャの国債がデフォルトになってもそれだけでは大きな影響はないと思います。ギリシャ国債がデフォルトになり、他の国の国債も大きく価格が下落することになると、保有銀行の資産圧縮につながり、それが信用収縮につながってしまうということなのです。ですから、ギリシャ問題も本質的にギリシャがどうなるのかが問題はなく、ギリシャがデフォルトとなったときに欧州の銀行がどうなるのかが問題となるのだと思います。

 したがって、ギリシャの国民投票が要因で株価が下落となっているのではなく、あくまでもこれまでの懸念と同じ欧州銀行の問題なのです。それに加え、中国の景気鈍化懸念が伝わり、バブル崩壊が伝えられたことで、欧州銀行への資金の出し手の一つである中国からの資金引き上げが懸念されたということなのです。これまでもこのコラムで述べてきたように、リーマンショックと同じような状況になるのかどうか、しっかりと世界の「お金の流れ」を見ておく必要があるのだと思います。逆に言えば、お金の流れがしっかりと流れているのかどうかを見ておけば、ギリシャ問題も中国の景気鈍化も米国の景気鈍化も日本の円高の懸念もみえてくるのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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