経済指標も芳しくないものがみられるがQE3期待も根強く大幅高清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年11月04日 07時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8640.42▼195.10

<TOPIX>738.58▼15.92

<NYダウ>12044.47△208.43

<NASDAQ>2697.97△57.99

<NY為替>78.05▼0.35

欧州金融不安も払拭しきれず、経済指標も芳しくないものがみられるがQE3期待も根強く大幅高

 ギリシャの国民投票が不可避と言うことでまだまだ欧州金融市場は波乱含みで朝方発表されたISM(米サプライマネジメント協会)非製造業景況感指数も予想を下回るなど芳しくなかったのですが、その後ギリシャの国民投票は回避されるとの報道やFOMC(公開市場委員会)でQE3(量的緩和)期待が強まったことから買いが先行、大幅高となりました。景況感は芳しくないものの、足元の企業決算はドル安効果もあって好調とされていることなどから、さらなる金融緩和で個人消費や国内雇用の改善も期待されるとして買われたものと思われます。また、ECB(欧州中央銀行)の利下げがサプライズとして好感された面もあると思われます。

 欧州金融不安はギリシャの国民投票などまだまだ払拭されたということでもないのですが、利下げが行なわれたことで米国でのQE3もやりやすくなったとして好感されたものと思われます。自国通貨安政策や金融緩和を進めることで、好調な企業業績の持続や雇用や個人消費の改善が期待されるということなのでしょう。G20首脳会合で欧州金融危機に対しての協調が確認され、対策が期待されたことも大幅高につながったと思われます。今後も欧州次第ということでしょうが、QE3に対する期待が強いことから底堅い堅調な地合いが続きそうです。

 個別には前日の引け後に発表された7−9月期決算が好調ということでクラフト・フーズやクアルコムが堅調、小売各社は10月の既存店売上高が芳しくないものが多かったのですが、JCペニーやメーシーズは堅調、サックスやアバンクロンビー・アンド・フィッチは軟調となりました。資金調達ができなければ事業継続が厳しくなるとの見方を示したイーストマン・コダックも大幅下落となりました。欧州での金融不安が最終的には薄らいだことでバンク・オブ・アメリカやJPモルガン・チェースなど金融株が高く、QE3期待からキャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)などの景気敏感株、インテルやアップル、IBMなどのハイテク株も高く、欧州金融緩和を好感して金や原油の先物も高く、エクソン・モービルなど石油株、ニューモント・マイニングなど金鉱株が大幅高となるものも交えて総じて堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 一昨日の日本市場は前日の米国株が大きく下落したことやユーロが軟調となったことから売り先行となり、好調な決算や業績上方修正を発表する企業もあり、底堅さもみられたのですが、米国など海外で重要な経済指標の発表やイベントのある飛び石連休を控えて、手仕舞い売りも多く指数は安値引けとなりました。先物などは持ち高調整の売り買いで右往左往する場面もありましたが、大きく方向感を出すこともなく、米国市場に連れて大幅安となりました。

 日本市場が休場の間に米国株は大幅高、押し目を確認するような格好となり、日本市場も反発が期待されます。ただ、為替が不安定なことや飛び石連休の谷間とあって、積極的な買いは限定されるものと思われ、上値の重い展開となりそうです。休日前に手仕舞い売りも嵩んだと思われ、ここで改めて売り直すような動きは少ないのでしょうが、逆に買い上がる動きも少ないと思われ、高く寄り付いたあとは閑散小動きとなり、幕間つなぎ的に為替の影響の少ない内需関連銘柄などが物色されるのだと思います。輸出関連銘柄でも売られすぎたものは買戻しもみられ、底堅い堅調なもののみられそうです。

 日経平均は8500円〜600円水準と8800円〜900円水準との間での動きが続きそうです。9000円に突っかけるような場面があっても8800円〜900円水準をしっかりと固めてからでないと上値も限られそうですし、円高が止まらないことには上値も重いと思われます。逆に8500円を割り込んでも8500円〜600円水準での上値の重さを確認するまでは下に振れてもすぐに戻るような格好で、米国や中国の景気後退となるようなことがなければ底堅いと思われます。

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