先週最も読まれた記事は「年収300万円未満の女性は7割、男性は?」。2位は「貯蓄はいくら? 25〜34歳のビジネスパーソン」、3位は「巨大地震が来たら危ない……“東京危険地区”ワースト100はどこ」だった。
先々週のトップ10「ソーシャルゲームが“やめづらい”理由」で触れたコナミのソーシャルゲーム『ドラゴンコレクション』(GREE内で提供)。コナミが現在行われているプロ野球日本シリーズのスポンサーになっているので、明らかに制作費がかかってなさそうなテレビCMを見た人も多いのではないだろうか。
GREEのゲームランキングで1年間トップを取り続け、登録者450万人超に達した『ドラゴンコレクション』。その秘密を探ろうと、筆者も2カ月ほど前から始めてレベル76まで上げてみたのだが、その過程でいくつか仕組みが見えてきた。
『ドラゴンコレクション』の最大の特徴は、無課金者と課金者の強さのバランスが絶妙なところ。特に序盤では無課金であっても、それほど障害を感じることがない。
その一例が、ユーザー同士で戦う“バトル”というシステム。バトルではお互いがモンスターカードを出し合い、その強さの合計で勝敗を競う。各モンスターカードには“必要魔力”が決まっていて、バトルに出すモンスターカードの必要魔力の合計は攻魔(バトルを仕掛ける時に使う魔力)や防魔(バトルを仕掛けられた時に使う魔力)という能力値以下の数字にしなくてはいけない。バトルを仕掛ける時に自分の攻魔が100ならば、モンスターカードの必要魔力の合計は100までということである。
モンスターカードは無課金でプレイして手に入るカードより、課金してガチャで引ける“レアカード”の方が強い。しかし、攻魔を高くすれば弱いカードでも数多く出せるので、少数の強いカードしか出せない相手に勝ててしまうのだ(『ドラゴンコレクション』では基本的に同レベル帯の相手とバトルする)。
『ドラゴンコレクション』には体力、攻魔、防魔という3つの能力値があり、レベルが上がったりした時は一定のポイントを割り振れるので、弱いカードしか持っていない人は攻魔に特化してポイントを割り振ればバトルに勝ちやすくなる、ということである。もちろん、たくさん強いカードを出す相手には勝てないのだが、バトル相手は選べるので中ぐらいの強さであればいい。
ほかのソーシャルゲームも能力の種類は似たようなものなのだが、それぞれの能力値はレベルに比例することが多い。CMでよく見かける『探検ドリランド』などはそうなのだが、その仕組みだと課金者が優位になりやすい(DeNAの『怪盗ロワイヤル』は『ドラゴンコレクション』に近いが、より課金者優位の仕様)。
「なら、課金する意味ないじゃん」ということになるが、『ドラゴンコレクション』がうまいのは、同じルールでありながらレベルが上がってくると状況が変わってくること。バトルでモンスターカードは最大10枚しか出せず、またモンスターカードの必要魔力は高くても20くらい。となると、攻魔や防魔が「必要魔力20×10枚=200」くらいになると、お互い出せる限界である10枚のモンスターカードを使ってのバトルになる。この場合、数で押し切れなくなるので、“レアカード”を手に入れる必要が出てくる。そこで課金のガチャを引かざるを得なくなるのである。
ゲームを始めてからだいたい1カ月、レベル50を超えたころにそんな状況になり始める。「ソーシャルゲームが“やめづらい”理由」で書いたように、その頃には仲間ができて交流も行われているので、「何とか続けたい」という気持ちになるもの。ゲームスタート当初に課金を強いられるより、ある程度コミュニティが形成された時に課金を強いられた方がお金を払ってしまいそう、ということは理解しやすいのではないだろうか。
もちろん無課金者への救済策もあって、イベントをこなしたり、トレードを利用すると、無課金者でもある程度、“レアカード”は手に入れられる。筆者はレベル76まで無課金でやってきたが、今のところは何とかなっている。
ただ、トレードコミュニティなどでカードの出品状況をチェックしたりすることは結構面倒なので、そういう手間を好まない人が課金に向かっているように思う。実際、数多くあるトレードコミュニティ(複数に入る人も多い)の所属人数を足しても恐らく10万人ほどしかおらず、登録者の450万人には遠く及ばない。
また、無課金者が“レアカード”を手に入れるための手段には、友達招待や仲間へのコメントなどコミュニケーションに関するものも多い。運営のコナミとしては、「無課金者はお金を払ってくれなくてもいいから、コミュニケーションを活性化させてゲームを面白くしてくれればいい」と割り切っているようにもうかがえる。
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