ソーシャルゲームが“やめづらい”理由誠 Weekly Access Top10(2011年10月22日〜10月28日)

» 2011年11月04日 11時30分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

 先週最も読まれた記事は「この企業に勤めている人と結婚したい……男女で違い」。2位は「彼女がいない……独身男性は何割?」、3位は「『常に自分が悪い』が招く結末とは」。

 筆者が気になったのは9月から10月にかけて掲載した野島美保さんの連載「ソーシャルゲームにおける日本型データ・ドリブンのあり方とは(前編)」「ソーシャルゲームにおける日本型データ・ドリブンのあり方とは(後編)」。

 筆者は「『基本無料』でビジネスをする方法――ソーシャルゲームのマネタイズ戦略」のような記事を書いていながら、ソーシャルゲームを本格的にプレイしたことはなかった。それではイカンという反省から最近いくつかプレイしてみているのだが、野島さんの記事で筆者が共感したのは次の部分。

チームを組む仲間作りという設定自体はどのゲームにもあったが、仲間申請の通りやすさや、仲間になった後のメッセージの盛り上がりという、ソフトの部分がまるで違っていた。筆者の場合、バトルの勝敗よりも、メッセージをくれる仲間がいるので何となく「切れない」と感じてしまったことが大きい。

 記事では具体的なゲームの名前は明らかにされていないのだが、筆者はこの記述は『ドラゴンコレクション』を念頭に置いたものと推測する。

 『ドラゴンコレクション』はコナミがGREEで提供しているソーシャルゲーム。新規ユーザー獲得ランキングで1年以上トップを取り続けており、総登録プレイヤー数は450万人超。国民的RPGと言われるドラゴンクエストシリーズ(リメイク除く)で最も売れた『ドラゴンクエスト9』の出荷本数は約415万本(参照リンク)なので、それを上回る規模である。

 『ドラゴンコレクション』では仲間に対して、“ガッツ”を実行すると、友情ポイント(貯めると、カードがもらえるガチャが引ける)が得られる。そしてさらに、ガッツをする時にコメントを加えると、友情ポイントが追加でもらえる仕組みとなっている。そのためプレイヤーは、Twitterのつぶやきのように適当なコメントを加えてガッツをすることが多い(書く内容がなくて「ガッツ」とだけ書く人も多い)。

 ただのコメントとあなどることなかれ。ある時、筆者が「今日は寒いなー」と書きこんだら、仲間から「急に寒くなったよね」と返ってきて、「ああ、こういうのっていいよなあ」と感じたことがあった。歌人の俵万智さんの「『寒いね』と 話しかければ 『寒いね』と 答える人の いるあたたかさ」の句が現実化された形で、こういう感情の積み重ねがゲーム継続のモチベーションにつながっていくのだろう。

 普通、ゲームで知り合ったばかりの人にメッセージを送るのはハードルが高いのだが、ポイント制度でそのハードルが下がっているのが大きい。ちなみに何度もガッツを交わした相手からは、もらえる友情ポイントも増えるため、しがらみ(?)のようなものができてやめにくくなる。ガッツと同様の仕組みはほかのソーシャルゲームでもあるのだが、『ドラゴンコレクション』はこのあたりのポイント設計が特にうまいと思っている。

 正直、どのソーシャルゲームもゲーム単体として見ると、すごく面白いとは言い難い。しかし、こういう風に人のつながりを作っていくと、継続率は高くなる。こうした仕組みはソーシャルゲーム以外でも応用できそうなので、その方法を模索しているところである。

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