オリンパス問題で見える、メディアとアナリストの不気味な共通点相場英雄の時事日想(1/3 ページ)

» 2011年11月24日 08時00分 公開
[相場英雄,Business Media 誠]

相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『偽装通貨』(東京書籍)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)、『双子の悪魔 』(幻冬舎文庫)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo


 過去の損失隠し問題にオリンパスが揺れ続けている。先週の当欄では、投資家向けに重要な企業分析リポートを提供する証券アナリストについて触れた(関連記事)。今回もオリンパスを通じ、アナリストとメディアについて分析を試みる。

 先の記事で触れた通り、オリンパスの過去の不正行為を見抜けなかったアナリストたちには、顧客である機関投資家から厳しい声が浴びせられている。この構図、オリンパス問題での出足が鈍かった日本のメディアにも通じるところがあるのだ。

インナーサークル

 アナリストと日本のメディア。まず共通するのは「インナーサークル」で仕事をしている点だ。

 ここ数年、「記者クラブ」の存在がクローズアップされている。特に、永田町や霞が関の記者クラブの多くは、海外メディアやフリーランスの参入に対して強い拒否感を示しているのは多くの読者がご存じの通り。

 アナリストの場合はどうか。日本の証券会社、外資系証券の中で鉄鋼や金融、自動車や機械など業種(セクター)ごとのアナリストをフルラインアップでそろえている会社は20社前後だ。大手企業が開催する決算説明会や新製品に関するイベントには、「IR担当に申請しておけば大概参加できる」(銀行系証券アナリスト)

 ただ、これは企業側がインターネットを通じて広く個人投資家向けに発表する内容と大差はない。「経営者と直に腹を割った話ができるクローズドミーティングに参加できるか否かで、得られる情報の質が格段に違ってくる」(同)という。

 ここに参加できるのは、国内大手証券、メガバンク系銀行証券、大手外資系証券などで「5〜6人の場合が多い」(外資系証券アナリスト)とされる。

 企業側にとっては、多くの投資家を顧客に持つ証券会社のアナリストに自社の都合の良い情報を提供することができる。取材するアナリストにとっては、参加できないアナリストが持たない情報を自分のリポートに盛り込むことが可能となる。

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