日本のアニメ・マンガは普及しているのか――答えはWikipediaで(続)遠藤諭の「コンテンツ消費とデジタル」論(2/4 ページ)

» 2011年11月24日 07時59分 公開
[遠藤諭,アスキー総合研究所]
アスキー総研

本のアニメは海外では……あまり強くない!

アニメ作品に関しての、Wikipedia他言語ページの開設状況。トップの『きつねと猟犬』は、1981年(日本では1983年)公開のディズニーアニメ。以下『ビアンカの大冒険』まで、上位5作品はディズニーが独占している。日本アニメでは、『千と千尋の神隠し』が44言語で20位に入る(クリックして拡大)

 図2は、アニメ作品に関連するカテゴリについて、同じように他言語の対応状況を表にしたものだ。これを見ると、アニメはディズニー作品を中心にした米国作品が独占している。日本でそれほど知られない『きつねと猟犬』が、なぜ世界中で興味が持たれているのかなど、このラインアップだけでも興味深いことがいくつかある。

 しかし、やはり気になるのは、日本アニメが『千と千尋の神隠し』や『となりのトトロ』ですらようやく30位以内にしか入らないということだ。

 日本のアニメは世界的に強いことがよく知られている。フランスでは、IPTVを含めると年に100本以上流れているという。2年半前、ロシアを訪ねたときに、日本大使館の方々に頼まれてラジオに出演したことがある(Культура манга и аниме в России“ロシア文化とアニメとマンガ”)。日本のコンテンツ事情について聞かれたのだが、30代の女性キャスターは、「今朝家を出るときに5歳の娘に“お勧めアニメを聞いてきて”と頼まれた」と言った。

 ところが、実際には米国のアニメ映画が圧倒的なのだ。その理由は、総合的な意味でのデリバリー力にあると思う。あるとき、スカパー! の関係者の方と話をしていて、「ハリウッドは何がすごいのですか?」と質問したら、まさに「供給力」だと言っていた。ジャパンエキスポの主催者に「日本のマンガはなぜ人気があるのか?」と聞いた答えも、「供給力」だったのである(参照リンク)

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