「絆」というキーワードが、危険な意味を含んでいるワケ津田大介×鈴木謙介、3.11後のメディアと若者(6)(3/5 ページ)

» 2011年12月21日 08時02分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

津田:「銀行以外、資金移動に携わってはいけない」というのが今の状況。でも2010年4月に、PayPalが日本にやってきた。またFacebookポイントというのがあって、Facebook内で利用できる仮想通貨(Facebookポイント)での決済システムを、日本を含む13カ国で利用できるようにすると発表しました。オンライン上のバーチャルなものをリアルマネーで支払うことができるようになっているので、早くネット上でリアルマネーを動かすことができるようになってほしいですね。

 Twitterも個人間決済を行うベンチャーを買収しました。いずれ銀行以外のところが、資金移動ができるようになると思っています。ただそうした動きに対して、最大の壁になるのが「経済界」や「金融界」であったりする。金融ビジネスというのは財閥が握っているので、その部分をどこまで自由参加できるかがポイントになるでしょう。

 なぜそんなことを考えているかというと、「政治家は、やっぱりダメだ」「官僚は、やっぱりダメだ」と感じているから。これはあまりネガティブな意味ではなくて、行政というは平時を前提にしたシステム。なので有事に機能しないのは当たり前。震災後、官僚たちと話をしていると、それを痛切に感じましたね。

鈴木:確かに。政治の側で震災直後に行った取り組みも、役に立ったことは、耳にする限りほとんど超法規的措置ですからね。

津田:ですね。政治家そして官僚が役に立たないことはハッキリしました。であれば「民間が民間を助けるしかないな」と思いました。

 でも「民間が民間を助ける」というときに、一番問題になってくるのは政治家や官僚が邪魔をすること。「前例がないからなあ……」とか言って。官僚が邪魔をしはじめたら、政治家はそれを取り除かなければいけない。それが政治家の役割のひとつですから。

 また邪魔させないために、世論を形成しなければいけません。その世論を作るためには、新しいメディアが必要なんだろうなと(関連記事)

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