インタビュー
» 2011年12月30日 06時45分 公開

第3回 足あと廃止は改悪なのか、進歩なのか――ユーザーコミュニケーションの重要性短期集中連載・mixiはどこへ行く?(4/5 ページ)

[吉岡綾乃,Business Media 誠]

ユーザー署名受け渡しに誠意はなかったのか?

――8月に、「mixi 足あと機能改悪反対!」コミュニティからユーザーの署名を受け取った……という話がありましたが、あの話はなかなかショッキングでした。広報の方の前で失礼かもしれませんが、「出てこられた方が名札もつけていなくて、名刺交換もしなかったので、どの部署の誰なのかも分からなかった」など、とてもネガティブな伝わり方をしていました。

ガジェット通信に「mixiの『足あと機能』を愛する17000を超える実名の要望署名、ミクシィ社に手渡される」と題した記事が掲載された

原田 あの署名の件は最初、わたしが受けようかと思っていました。でも現場から、「原田さんは出ないで下さい(自分たちでやるから)」という声があって、現場に任せることにしました。いつまでもわたしが何もかも抱えたままではいけない、役割分担や権限委譲を進めていかなくてはないという状態の中で、「現場の声を尊重したい」という気持ちが強くあったのです。

 当日、私はその時間帯はちょうど空いていたので、携帯で連絡をとりながら「どうだった? 気持ちよくお話しできた?」とスタッフに話を聞いていました。担当者は「(実際に会ってみたら、相手は)とてもいい方でした、普通にお話をして、ご本人も『なんでこんな役割をしなくちゃいけないのか、もっと若い奴がすればいいんですけどね』なんてことをおっしゃって帰って行かれました」という話だったので「そうかそうか、気持ちは伝わったんだね」という話をしていたところで、あの記事がでたのです。

 取材に答えた方も、あの記事が本意だったのか分からないところはあります。分からないところはありますが……あと、名札の件も、本当にそこが問題だったのかどうか。記者だったから気づいたポイントという気もします。私はうちのスタッフと相手の方との間に、その場ではちゃんとコミュニケーションがあったのだと思っています。取材をされた方に対して事実を答えていった結果がああいう記事になって、「それって(ミクシィに)誠意がないんじゃないの?」という話になったんだろうと思っています。私は彼らの対応が失敗だったとか、誠意を持ったコミュニケーションをしていなかったとは思っていない。そこは信じています。

――でも、ネガティブなイメージや報道が拡散してしまっているのを放っておくのはどうなのでしょう? わざわざ自分の本名を出して署名するって、それは本当にmixiが大好きなユーザーだと思うのです。何万人という署名を集めるのは、さらに大変なことです。署名を受け渡した現場の当人同士はうまく行っていたのかもしれませんが、その話は外に出ていませんよね。少なくとも私は初耳でした。mixi内では「せっかく署名を持っていったのに、冷たいあしらいをうけたらしいよ」「コメントを求めても、テンプレート回答しか返ってこない」という話になってしまっています。それを、ただ放っておいていいのでしょうか?

原田 運営には、日々、膨大な数の問い合わせが届きます。社内には「問い合わせに対してはテンプレで返すべき」という声もあるのですが、私はむしろ「問い合わせの対応はタッチポイントだと思え」という考え方です。Webサービスはタッチポイントがないのが普通で、今回のようにユーザーのリアルな声を聞けることは滅多にない。フェイストゥフェイスで会えるなんて、むしろチャンスだと思え、スタッフにもそう話していました。

 しかもソーシャルサービスの場合、ある1人の人がmixiを好きになるか、あるいはイヤになってやめてしまうのかは、非常に大きな意味を持ちます。1人が行ったポストの影響が、平均46人に及ぶ、というデータがあるくらいです。「すべてのユーザーに対してmixiのファンになってもらえ」というのを紙に書いて社内に貼ったりしており、私のこの考え方はスタッフにも浸透していると思っています。

――サポートは、原則を決めてそれに従って対応する、が鉄則だとは思います。でもそれだけではないほうがいい局面もありますよね。例えばAppleでいえば、ジョブズから直々に誰かにメールが届いて、それが報道されることで非常に大きなメッセージ、強いパブリックリレーション(PR)になるということも実際起きています。

原田 一つ言えるのは、私が出るのはPR的な観点ではないということ。私は単純に、直接(ユーザーに)会いたかっただけなんです。署名してくださった1万7000人のユーザーにはそれぞれマイミクがいて、その後ろにもっと大勢のmixiユーザーがいる。みすみすそのチャンスを逃してしまうのは……直接コミュニケーションしたかった。

――でも、悪いイメージとか報道が拡散してしまっているのを放っておくのはどうなのでしょう。今回は原則に沿って対応した結果、良くない伝わり方をしてしまったわけで、プラスアルファの対応が必要だったのではありませんか? 原田さんが出ないまでも、足あと機能の開発担当の方が取材を受けるなどでも良かったと思うのです。

原田 笠原がブログを書くなど(参照リンク)、そういう対応はしています。メディアとのリレーションも、なるべく私が出ない方がいいとは思っています。会社の顔は笠原ですし、現場で頑張っている人が取材で光ったほうがいいですから。

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