日本は破たんするのか? そうはさせない人間の思考回路ちきりん×中田宏、政治家を殺したのは誰か(2)(2/4 ページ)

» 2012年01月11日 08時01分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
ちきりんさん

ちきりん:確かに人口全部を意識して組織運営をするというのは、ものすごく大変なことですね。異なるグループの目標が一致しないから、政策に優先順位をつけることも難しい、というわけですね。

 今、日本では国だけでなく、地方も借金問題が深刻です。しかしこの先の人生があと10年か長くても20年という年齢の人にしてみれば、「国と横浜市で借りられるだけ借りて、福祉を充実させてほしい!」と思うかもしれません。

 そういう人から見れば消費税を上げるなんてとんでもないし、そもそも財政のバランスをとる必要さえないと思っているかも。「自分が生きている間はずっと国や地方の借金が増え続けてもいい。ただし破たんだけはするな」と考えるかもしれないわけですよね。

 もちろん高齢でも自分の生活に余裕があれば、「将来にわたって国が破たんしないように、ちょっとは協力しよう」と考えるでしょう。でも自分自身も経済的にぎりぎりの大変な生活を送っていると、「大事な問題だけれど、自分だって生活に困っている。なんとかしてくれ」というのが本音ではないでしょうか。

 それと、さきほど中田さんは「年代によって利害が違う」と話されましたが、私は若い人の間でも利害はかなり違うと感じています。保育園にお金をかけてくれ、という人もいれば、親の介護関係にお金をかけてくれ、という人もいる。

 あれだけ大きな行政単位になると、必ず利害の異なるさまざまな層を抱えていることになりますよね。首長がそういう組織を上手く運営するには、一体、どうすればいいのでしょう?

中田:まず大きな目標に対し、コンセンサスを得ることですね。例えば、「自分が死んだあとのことも含めて、子供や孫の時代にも責任を持つ国家経営をする」という意見に賛同を求め、賛意を示してもらう。

 次世代に、自分たちが残した借金を背負わせたくないと思うのは良識ある人なら自然な思いではないでしょうか。誰だって、将来に対する責任を感じているはず。そこに気づいてもらう。そして、気づいてもらうために重要なことは、自分の存在だと思う。

ちきりん:自分の存在?

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