日本は破たんするのか? そうはさせない人間の思考回路ちきりん×中田宏、政治家を殺したのは誰か(2)(4/4 ページ)

» 2012年01月11日 08時01分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
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中田:皮肉ですが、そうなっていると思います。なぜ皮肉かというと、追い込まれれば追い込まれるほど「なんで?」という本質論に突き当たる人が多くなると思うからです。

 例えばテレビ業界では広告収入が減ってきています。広告収入が減ってくると、番組を安く作れて視聴率がとれやすい番組ばかりが増えています。そして質が悪くなる。

 しかしこうしたテレビ局の行為は自殺行為のようなもの。今、若い人を中心にテレビ離れを起こしてしまっている。テレビを見ずに、違うことをする若い人が増えてきているのではないでしょうか。

ちきりん:ですね。最近の若い人はホントにテレビを見ないです。大学生になればもちろんですが、中学生ぐらいでもテレビよりPCの画面に向かっている時間の方が長い子がたくさんいます。

中田:テレビ離れが加速すれば、テレビ局は「このままではダメだ」という本質論に気づき始めるでしょう。もちろん、すでに気づいている人もいるはず。

 人間社会だけでなく、自然社会全体は振り子のように物事が動いていると、私は思っています。例えば貧乏なところに行き着けば「やっぱりオレたち、自分たちで豊かさを手に入れなければ……」となるわけですよ。

ちきりん:焼け野原になった戦後とか、まさにそうですね。ああいう状況になると日本人は特に頑張る気がします。どん底から這い上がることに動機を感じる国民性なのかと思うほどです。

中田:その一方で豊かな社会になると「もっと楽してーよ」という人たちが出てくる。

 この振り子というのは、大自然から人間社会の営みまで必ず存在していると思っています。そういう意味では、皮肉なことに本質論に行き着く人たちが出てくるということですね。

続く

2人のプロフィール:

ちきりん

兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。著書に『自分のアタマで考えよう』『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』がある。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN

 →Chikirinの日記

 →中田宏さんと対談しました!(Chikirinの日記)

中田宏(なかだ・ひろし)

衆議院議員(3期)を経て、平成14年に横浜市長に就任し2期務める。横浜市の累積借入金を約1兆円純減、ごみ排出量40%削減、市営地下鉄、市営バス、水道局の黒字化など数々の改革を通し市財政を再建。現在、青山学院大学院などの客員教授を務めながら、全国各地での講演活動や本の執筆など多方面で活躍中。

2011年10月に発売された政治の利権構造を赤裸々に綴った『政治家の殺し方』(幻冬舎)は、Amazon.co.jpのベストセラー1位を獲得するなど好評を博している。


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