日本に足りないモノは? 給与一律カットの弊害ちきりん×中田宏、政治家を殺したのは誰か(最終回)(3/5 ページ)

» 2012年01月31日 08時01分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

中田:自分のことはさておき、今の日本は、ちきりんさんの言う通りだなあと思いました。やはり日本人は農耕民族のDNAが強いのかなあ。

ちきりん:農耕民族と狩猟民族の違いとは?

中田:狩猟民族のDNAであれば、リスクを犯してでも獲物を手にしようとする。そしてその獲物を手にしたリーダーというのは、周囲から尊敬される。そしてその獲物の分配についても率先する。

 その一方で、農耕民族型のDNAは調整型のリーダー。調整型というのは、全体がうまくいっているときの調整は簡単かもしれないが、うまくいかなくなると調整が難しくなる。そしてどんなことをするかというと、みんなで痛みを少しずつ分かち合ったりする。

ちきりん:なるほど。前面にでて戦うリーダーより、組織内部の調整をする人が大事なのが農耕民族ということですね。たしかに給与一律カットなどは、組織のための調整の典型ですよね。

中田:ですね。給与一律カットは、実はその場しのぎの対応で、根本的な解決にはならないのです。一律カットということは、これまで厳しかった職場はより厳しく、これまで生ぬるかった職場はそのまま生ぬるくとい状態を温存します。

ちきりん:一律1割カットをすると、不要なモノの9割も残る上に、増やす必要のあるものまで削られてしまう。あれって問題を先送りしているだけですよね。

中田:給与一律カットをしている背景には「またいつかよくなるよ」と思っているから。

ちきりん:それは典型的な思考停止状態ですね。「いつかよくなるから、今は何もしないでおこう」という……。

著書『政治家の殺し方』にサインをする中田さん

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