以上のように、独自性の強い商品群を抱えるやのまんだが、各商品の戦略的位置付けは、どのようになっているのだろうか? PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)に沿って聞いてみた。
「弊社の安定的な収益源になっている“金の成る木”に当たる商品は3D球体パズルです。そして現在、最も脚光を浴びる“花形製品”の位置にあるのが世界最小ピースの『プチシリーズ』ですね。さらに、次世代スターとして期待される“問題児”に当たるのが4Dパズルと、人気キャラクターの3Dパズル(ビッグフェイスシリーズ)です。これらに対して、その使命を終えつつある“負け犬”に該当するのが40ピース程度のハメ絵でしょうか」
では、今後のやのまんのサバイバルのために最も重視しなければいけない戦略は一体何なのか? アンゾフ・マトリックスの4つのボックス、すなわち、市場深耕戦略・新商品開発戦略・新市場開発戦略・多角化戦略に当てはめて考えるならば、そのいずれが該当するのだろうか?
「それはズバリ、新市場開発戦略です。かつてジグソーパズルは、ハイソな知的娯楽でしたが、近年は、ユーザー層のニーズの多様化・分散化が進んでいます。今や、いかに新しい切り口を発見し、新しい市場を構築できるかが勝負になってきています」
確かに、ジグソーパズルを知的娯楽に限定する時代は終わったのかもしれない。「ジグソーパズルが認知症予防に良い」というメディア報道を耳にしたことがあるし、「病人やけが人のリハビリに有効」という意見もある。そうだとすれば、老人保健施設や老人ホーム、病院やクリニックはもちろん、日本全国約4000万世帯のうち、65歳以上の高齢者を抱える世帯が1000万軒を超えた今、そうした世帯も有力な顧客になり得るだろう。
また、ジグソーパズルが英国で子どもたちの教育用として考案されたという原点に立ち帰り、学校や自宅での地理や歴史などの学習に使ってもらうことや、形状・空間把握力などを養うための能力開発用に活用してもらうことも考えられるだろう。
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