実際に「失敗したらマイナス評価になるので、余計な挑戦はしない」という選択肢が社員にとって有力なものになっている会社は多い。評価制度が「成功を追求する」よりも「失敗しないようにする」人を増やしてしまっている。成功を求めて挑戦しても、業績に波があったり目立った失敗や間違いがあったりしたら損になる。それよりも、コンスタントにそこそこの成績を残し続け、つつがなく無事平穏に過ごす方が、より高いポストを得られる可能性が高い。評価制度が、そのようなメッセージとなってしまっているのである。
次代を担うリーダーが出てこないというのは、企業においても大きな悩みとなっている。これは「昇進のジレンマ」に陥っているのではないかと思う。失敗や間違いに寛容でなくなり、目先の成果だけをコツコツと上げてきた人材、ミスのない安定した人材の登用を続けてきた結果ではないだろうか。
もちろん、そのような人材を評価することは何の問題もない。しかし、そのような評価とリーダーの輩出、昇進のありようとは分けて考える必要があるのだろう。失敗や間違いをどう評価し、あるいはどのように経験させて、昇進人事に組み込むか、これが問われている。(川口雅裕)
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