「自動車メーカーは、過去20年間、こんな形でつぶれたことなんかない。倒産するなら予兆のようなものもあるし、年間20万台も生産しているメーカーがいきなりつぶれるなんて考えられない。これが、本当に失敗なのか?」。英国のMGローバーの経営破たんが、インポーターだったオートトレーディングを窮地に追いやったのだった。
私が南原氏を好きな理由は、原稿を読み上げるようなロジカルな喋りから、スーッと何かが見えてくることが多いからだ。車を海外で転がして安く輸入しているとか、本国発表前のベンツのニューモデルを売り始めたとか、イタリア人窃盗団と組んでいるんだよと冗談まじりに言ったりするような部分もあるのだが、要するにフレームワーク的な思考に長けている。
この窮地の後、南原氏がビジネスで奇跡ともいえる復活を果たしたきっかけは、「AT-1」だろう。中古車の個人売買を支援するというサービスだが、まさにビジネスはシンプルであれという鉄則に沿っている。自分が車を売るときには考えもしなかったのだが、以下のロジックがそのまま事業化されたものである。
・個人売買は、ユーザーにとっていいことづくめだが、唯一のマイナスは手続きの煩雑さだ
・この手続き部分を誰かがやってくれれば、個人売買は一般に浸透する
・個人売買では、業者ではかかる消費税がかからない(しかも、今後消費税は上がることが予想される)
このようにして新事業を生み出してきた南原氏の次の事業が、今回の出版社設立であるわけだ。
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