コラム
» 2012年03月23日 08時03分 公開

杉山淳一の時事日想:「青春18きっぷ」が存続している理由 (3/5)

[杉山淳一,Business Media 誠]

 なにしろ青春18きっぷは、増収のための設備投資がいらない。新線や新駅も必要なく、列車の増発や車両の新製も不要。普通列車限定で、学生の長期休み期間に有効とすれば、ガラ空きの列車にお客さんが来てくれる。現場の手間もかからないので、組合だって反対する理由はない。学生定期代の減収さえ補えたら御の字。それどころか、コストは多少の宣伝費ときっぷを印刷する紙代だけで、トレーディングカード並にボロもうけできるきっぷである。

 現在の青春18きっぷの売り上げはいかほどだろうか。国内外の旅行情勢に詳しい『旅行総合研究所・タビリス』が独自に入手したデータによると、JR東日本の2010年度の販売枚数は23万8954枚とのこと(参照リンク)。これに単価1万1500円をかけると 27億4797万1000円。約27億円もの売り上げになる。タビリスによれば、JR各社の旅客運賃収入のシェアのうち、JR東日本の売り上げは45%で、かなり乱暴だが、この比率で推計するとJR全体では約60億円になる。

 JR各社にどう配分されているかは分からないが、トータル60億円の「印刷紙販売ビジネス」を、そう簡単にはやめられないはずだ。連結売上高2兆5000億円もあるJR東日本にとって、60億円は小さな数字かもしれない。しかし、JR四国の連結売上高485億円から見れば見逃せない数字である。いや、JR東日本にしたって、自社売上の27億円はないがしろにして良い数字ではない。総額2兆円以上の売り上げは、駅では最低区間130円からの切符を売り、キヨスクでは1個100円のアメを売り……という小さな商いをかき集めての商売である。

JR東日本の最近の青春18きっぷ発売実績(縦軸:売上、横軸:年度、出典:青春18きっぷ研究所(旅行総合研究所・タビリス)。2006年度の急増は「JR発足20周年・青春18きっぷ」が特別価格8000円で販売されたため。これで青春18きっぷが再認識されて売上が増えたものの、高速道路無料化などの影響で販売枚数は下降傾向とみられる

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