ちなみに、中年男性が言う「無賃送還」は、列車が事故や災害で打ち切りになったときのルールだ。乗客が目的の駅までの旅行を中止して、出発駅に戻る場合は無料で列車に乗れる。さらにきっぷは払い戻しになる。ただし、これは青春18きっぷには適用されない。なぜなら「JR旅客鉄道会社全線」と書かれたきっぷだからだ。始発駅も終着駅も表示されないきっぷで、目的駅も出発駅も証明できない。
この場合、交渉するなら有効期間の延長かもしれない。災害などで足止めとなった場合、有効期間を延長して旅行を続行できるという規則だ。駅の外で宿泊してもいい。ただし、きっぷは駅に預けなくてはいけない。もっとも、この制度も青春18きっぷでは適用されない。
青春18きっぷは券面に「○のなかに企の字」のマークが入っている。これは企画乗車券と言って、特別企画の割引きっぷであることを示している。その意味は単なる「安いですよ」ではない。「普通乗車券ではないので、効力が制限されていますよ」という意味である。つまり、青春18きっぷは「制限付きの格安きっぷ」なのだ。
企画乗車券は普通のきっぷと同じ補償は受けられない。もし旅客の生命に危険があれば、特例措置もあるかもしれない。しかし、少なくとも乗客の側から「普通乗車券と同じ補償」を求めるとは筋違いだ。この場合はLCC(格安航空会社)のほうが分かりやすいかもしれない。格安で旅行できる代わりに、機内食は有料、飲み物も有料、機材トラブルで運休した場合も、他の航空会社への振替措置はない。青春18きっぷもLCCのようなものだ。安い代わりに、普通乗車券と同じ待遇ではない。
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