MBAの時代は終わった!? “事業構想力”で日本のビジネスを元気に嶋田淑之の「リーダーは眠らない」(1/4 ページ)

» 2012年04月20日 08時00分 公開
[嶋田淑之,Business Media 誠]

嶋田淑之の「リーダーは眠らない」とは?

 技術革新のスピードが上がり、経済のグローバル化も進む中、日夜、自らの組織のために粉骨砕身するリーダーたち。彼らはどんな思いを抱き、どんなことに注目して、事業を運営しているのでしょうか。「リーダーは眠らない」では、さまざまな企業や団体のトップに登場していただき、業界の“今”を語ってもらいます。

 インタビュアーは戦略経営に詳しい嶋田淑之氏。徹底した聞き取りを通して、リーダーの心の内に鋭く迫ります。


 バブル崩壊から今年で21年。この間、日本の政府も産業界も、国内外の環境変化に対して適切な対応ができずにいたために泥沼の長期不況を招き、いまだもがき苦しんでいる。“失われた20年”と呼ばれるゆえんである。そんな状況に危機感を募らせ、独創的な切り口から立ち上がった人がいる。

 株式会社宣伝会議の東英弥会長(59)である。東さんは、5年がかりで文部科学省の認可を得て、今年4月に事業構想大学院大学を開学し、その初代理事長に就任した(学長は経営学者の野田一夫氏)。

 事業構想大学院大学では、本来極めて重要でありながら日本の従来の大学教育においては決定的に欠けていたファクターに焦点を当てた教育を行い、それを通じて、日本のビジネス、そして日本の社会全体を再活性化することを目的にしているという。それは一体どういう内容の教育なのか、東さんにお話をうかがった。

事業構想大学院大学の東英弥理事長

MBAの時代は終わった!? 新しい時代のニーズとは

 事業構想大学院大学は、新規事業開発者、事業承継者、地域活性化を志す人、NPO法人の運営者および社会企業家、起業家志望者を対象に、“事業構想”に特化した教育を行う専門職大学院で、東さんによれば「世界に類例はない」新しい試みだという。

 「閉塞状況にある現代日本の産業界に最も必要なことは、経営者が独自性のあるビジネス・シーズ(種)を発見するとともに、それをイノベーティブな製品・サービスへと転換していく事業構想力です。

 しかし、これまでの日本の経営学教育は、MBA(経営管理学修士)のようにすでにできあがっている事業構想を効率的に推進していく側面にのみ注力していて、構想力そのものを専門的に養う場はありませんでした。

 つまり、現代の日本の窮状を救うために最も必要な能力を育成する場が、用意されていなかったということです。それで私は、MBAに代わる、MPD(=Master of Project Design)を育てる専門職大学院を作ることにしたのです」

事業構想大学院大学公式Webサイト

 私の理解では、この大学の設立には次の2つの狙いがある。

 第1は現代の大学教育にアンチテーゼを提示することを通じて、日本の大学教育を時代のニーズに即したものへと変革する契機を作ること。第2は、イノベーターを多数輩出することを通じて、日本を再活性化することである。

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