杉山:東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県の仙石線で、新システム「ATACS(アタックス※)」が導入されました。詳しい内容については割愛しますが、従来のシステムであれば、列車は信号機で区切られた1区間に1列車しか運転できませんでした。しかしこのアタックスを使えば、列車の車間距離が詰められるので、同じ区間にたくさんの列車を走らせることができるようになる。しかも安全性の技術も高い。
杉山:ただこの技術を直接海外に持ち込んでも、オーバースペックになるかもしれません。なので「遅れない鉄道」という価値観を、今後どのようにアピールしていくのか。ここが肝になるのではないでしょうか。
鉄道が定時で運行されるということが認識されれば、クルマ通勤の人たちが鉄道に乗り換えるかもしれません。英国では駅の発車案内板の横に、鉄道がどのくらい遅れているのかを表示している。これは遅れるのが当たり前だから。しかし今後、高速鉄道が普及し国境を越えるのが当たり前になれば、ライバルは飛行機になるでしょう。
大塚:日本の場合、なぜ新幹線が飛行機に勝てたと思いますか?
杉山:やはり定時発車であることと、自由席があって当日乗れることだと思います。もしいつ来るか分からない新幹線と、15分前に集合しなければいけない飛行機、どちらを選びますかとなれば、飛行機のほうが速いので「飛行機」を選ぶ人が多いと思います。でも新幹線の場合、定時にきちんと到着して、発車してくれるので「新幹線」を選ぶ人が多いのではないでしょうか。
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