改正貸金業法から考える、日本人とお金の関係ちきりんの“社会派”で行こう!(3/3 ページ)

» 2012年05月21日 08時01分 公開
[ちきりん,Chikirinの日記]
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“まっとうな社会”を実現するためには

 最初に書いたように原則論でいえば、ちきりんはこんなお節介な規制は嫌いです。貸し手も借り手も、いくらまで貸してよいか、いくらまで借りてもよいか、利子はいくらが適切であるべきか、自ら判断できるはずです。杓子定規な規定を作ることは、市場をゆがめてしまいます。実際にいろんな弊害が出るでしょう。

 しかし、こんな規制の不要な“まっとうな社会”を実現するためには2つのことが必要です。

 まず、お金に関する消費者教育を義務教育に取り入れること。もう1つは貸す時は「法と契約」で貸すくせに、返済させる時は借りた人を違法行為に追い込む仕組み自体を取り締まることです。

 闇金や違法な取り立て行為を徹底的に取り締まり、かつ、返す時も「法と契約」に基づいて、自己破産という手段を利用しやすくする必要があります。

 「返済能力以上に貸したら、借り手は自己破産して資金回収できなくなる」と思えば、業者は返済能力を超えた貸し付けをしません。それが市場原理です。彼らは今まで「返済能力以上に貸しても、最後は自殺か犯罪によって、もしくは道徳と世間体に縛られた親が返してくれる」から、返済能力を大きく超える額を貸し出し、巨額の利益を得てきたのです。

 お金に関する教育と、「過剰貸し付けを犯罪によって回収する業界構造」の摘発、是正を進め、一刻も早くこんな子どもじみた規制が不要な国になってほしいものです。

 そんじゃーね。

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ちきりんさんによる新刊『社会派ちきりんの世界を歩いて考えよう!』が5月19日に発売されました。

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著者プロフィール:ちきりん

兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。著書に『自分のアタマで考えよう』『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』がある。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN」。

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