これら3つの仮説は統計的データこそないが、私の経験として痛感しているものである。実際私も、1996年と2007年の転職では、その環境は大きく様変わりしていた。
これらの仮説が絡みあって「若手が転職しやすい」とするならば、現代の上司は昔以上に自社のために若手を教育する熱意をもう一度、自ら湧き立てる必要がある。
転職容易な時代だからこそ、自分のプライドよりも、部下を育てることに全力を注ぐ。仕事の楽しさを教える。ある意味、昔の上司よりも環境が異なるために、今の上司に求められる難易度も高いわけだ。
そのためにも、若手たちが「転職することより、自社で働く方がやりがいがある」と本気で思えるように、会社の制度、報酬以外の価値、人間関係を整備する必要がある。コーチングなどのコミュニケーション技術が必要となっている背景もここにある。
上司としては、決して部下におべっかを使うということではなく、部下へ愛情をもって、厳しく、楽しく一緒に仕事することを心がけることが若手もベテランも、モチベーションを持って働くために必要なことなのだ。部下が辞めないためのカギは上司が持っている。(葛西伸一)
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