国道6号をさらに南下する。すると、ニュース映像で頻繁に見た場所にたどり着いた。福島第一原発から半径20キロの地点だ。今年4月15日までは通行証を持つ車両のみが立入りを許可されていた場所だ。
現在は警官が立っているのみで、チェックはない。もちろん写真を撮っても職務質問されるようなことはなく、すんなり通過できた。言うまでもなく、このポイントは政府が便宜的に引いたラインでしかない。同心円の内側に暮らす人々は強制的に住まいと生活を追われることになった地点だ。
カーナビを見ると、原町区と小高区の境に近いことが分かった。20キロの境界線を超えたあとも、周囲の景色は変わらない。のどかな田園地帯が続くのみだ。だが、国道6号が丘を越え、海岸線が見渡せる一帯に来ると景色が一変する。
6号線から海岸に向かう脇道にステアリングを切った。同時に、息を飲んだ。私の頭の中に、昨年4月の光景が浮かんだからだ。
眼前に広がる光景は、宮城県石巻市や東松島市で目にした震災直後の様子とほとんど変わらなかった。唯一違うのは、震災から1年以上経ち、雑草が生い茂っている点だ。
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