鉄道と街はどのように変化するのか――渋谷と大阪に注目するどうなる? 鉄道の未来(6)(4/5 ページ)

» 2012年05月28日 08時01分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

杉山:過当競争にならざるを得ないですね。東京では2005年問題とか2010年問題などと言われていました。大規模オフィスや複合商業ビルができる一方、団塊の世代が定年を迎えるためオフィス需要が減る。新しいビルの賃料が下がり、人気が集中する一方で、バブル期に建てられた中層オフィスビルからテナントが逃げ出す……。

大塚:オフィスでいえば賃料の下落が加速する。ホテルでいえば宿泊料が下落する。また古いビルは淘汰されていくかもしれない。

 私は大阪駅周辺の再開発は「失敗だった」と思っています。このため、私は「うめきた」の再開発地区に現行計画のように高層ビルや高層マンションなどを建設するのではなく、すべての敷地を公園にすれば良かったのではないかと考えています。

杉山:ほー。

大塚:大阪にある大きな公園といえば、大阪城公園と靱(うつぼ)公園くらい。東京に比べると、緑地が少ないんですね。大阪の人はよくこのように言っています。「東京って、緑が豊かですよねえ」と。

 なので大阪駅周辺の再開発は、すべて公園にすればよかったのではないか。大阪の魅力を高める「ハイド」された隠し味にするためにも、ロンドンにある代表的な公園を見習って和製「ハイドパーク」にして、そこに屋台文化を根付かせればよかったのではないか。

 例えば、数年前、大きなタコが入っていることで有名なたこ焼き屋が道頓堀で営業をしていることが問題になりました。今は後継の場所が決まりましたが、そうしたお店に屋台ができる権利を与えてはどうでしょうか。もちろん永久的にということではなく、一時的にその権利を与える。そうすれば違う方向で活性化できたのではないでしょうか。

高層ビルなどの建設が進むJR大阪駅北側の再開発地区「うめきた(梅田北ヤード)」(撮影:大塚圭一郎)

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