鉄道と街はどのように変化するのか――渋谷と大阪に注目するどうなる? 鉄道の未来(6)(1/5 ページ)

» 2012年05月28日 08時01分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

どうなる? 鉄道の未来

 鉄道の未来は? と聞かれれば、答えは「厳しい」と言わざるを得ない。人口減で需要が減少するなか、台頭する格安航空会社(LCC)と整備されていく高速道路網と戦っていかなければいけないからだ。

 もちろん鉄道が急速に衰退するとは思えない。むしろ首都圏では次々に新線が開業し、既存路線が整備されていっている。「過当競争に陥っているのではないか」という懸念が広がるなか、地方鉄道は赤字に苦しみ、廃止・縮小を余儀なくされている。

 こうした現状に対し、鉄道会社は次の一手をどのように打てばいいのだろうか。そこで鉄道事情に詳しい共同通信の大塚圭一郎記者とBusiness Media 誠で連載をしている杉山淳一氏に、徹底的に語り合ってもらった。対談は全7回でお送りする。


鉄道地図が大きく変わる

杉山:鉄道というのは街づくりと密接にかかわっています。それは都会であっても、地方であっても同じ。例えば渋谷では10〜20年スパンで街を変えていく予定です。

 渋谷を走っている東急東横線は今年中に地下に潜ります。また銀座線の駅が移転するなど、東京でも鉄道の地図が大きく変わろうとしていますね。

大塚:渋谷は2013年春に、東急東横線、東京メトロ副都心線、西武鉄道、東武鉄道が乗り入れします。そのときに乗客はどこで降りるのか興味がありますね。

 副都心線が開業したときには「池袋はスルーされて、渋谷や新宿に人が流れるのではないか」と言われました。しかし池袋駅周辺を中心にイベントをしたりして、意外と引き止めることに成功しました。しかし渋谷駅前に複合商業施設「渋谷ヒカリエ」がオープン(4月26日)したことによって、どこまで求心力が集まるのかにも注目しています。

 渋谷は若い人たちを中心に人気がある街ですが、ヒカリエがメインターゲットにしている働く女性をどこまでひきつけることができるのか。百貨店が地盤沈下する中で、東急百貨店があえて「百貨店」という名前が付かない「シンクス」をプロデュースしました。ここも働く女性らをターゲットにしていますが、従来の百貨店となにが違って、どこまで差別化ができるのか。今後の渋谷については、いろいろと興味深いですね。

杉山:渋谷は東急東横線の終点だったのですが、これからは通過点になります。

渋谷の街が変わろうとしている。写真は「渋谷ヒカリエ」
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