鉄道と街はどのように変化するのか――渋谷と大阪に注目するどうなる? 鉄道の未来(6)(5/5 ページ)

» 2012年05月28日 08時01分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
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杉山:B級グルメの屋台がたくさんできるのは、いいアイデアですね。「大阪の観光ってなに?」と聞かれても、よく分かりません。ひょっとしたら地元の人たちもよく分かっていないかもしれません。

大塚:大阪は商魂たくましい人が多いので、場所さえあればいろいろなアイデアが出てくるのではないでしょうか。

 台湾を昨年訪問して物販や飲食、娯楽の屋台がひしめく夜店にも足を運んだのですが、大勢の親子連れやカップルらでにぎわっていて、地場産品や名物料理を手軽に楽しめる観光資源としても立派に機能していました。

 そのような舞台装置が大阪駅前の一等地に誕生すれば、官民挙げて取り組んでいる訪日外国人旅行者の獲得にも大いに役立ったことでしょう。

台湾の夜市はゲームや飲食などの屋台が並び、地元住民のほか観光客でもにぎわう(左)、台湾の夜市は屋台の数が膨大なだけに、出口が分かるように「でぐち」「出口」と日本語で書かれたネオンサインもあった(撮影:大塚圭一郎)

杉山:大都市だから人が自然と集まってくると安穏としてしまい、あぐらをかくのではなく、そうした発想の転換が必要なのではないでしょうか。

大塚:もちろん東京の再開発が成功しているとは思っていません。東京の再開発というのは、一時的にはそのエリアが盛り上がるんですよ。でも継続性に欠けている。私の勤務先の本社がある汐留のほか六本木、品川、お台場といった感じで、点々としているだけ。連絡バスを定期的に運行して移動しやすくするなど、もう少し面として展開してほしいですよね。

杉山:東京の街の開発は、東京都が主体になっていて、順序が決められている。ここをやったらここ、次に、ここをやったらここ、といった感じで。でも、最近は区が主体になる仕組みになってきましたね。

続く

プロフィール

大塚圭一郎(おおつか・けいいちろう)

 共同通信社編集局経済部記者・携帯電話向けニュースサービス「NEWSmart共同通信」の週刊鉄道コラム「汐留鉄道倶楽部」執筆者。

 1973年4月、東京都生まれ。国立東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒。97年4月に共同通信社に記者職で入社し、松山支局、大阪支社経済部を経て2006年5月から編集局経済部。国土交通省記者クラブキャップを2年間務めるなど運輸業界の取材経験が長く、鉄道関連記事を多く手掛けている。新幹線300系と100系の12年引退を10年5月に、今春の特急「あさぎり」からの371系引退を昨年10月にそれぞれ他社に先駆けて報道した。休日は、父親以上に熱心な鉄道ファンである息子と一緒に鉄道旅行に出掛けることが多い。共著書に『ジャーナリズムのいま』(みずのわ出版)などがある。

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

 1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP、誠Styleで「杉山淳一の +R Style」を連載している。


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