鉄道と街はどのように変化するのか――渋谷と大阪に注目するどうなる? 鉄道の未来(6)(3/5 ページ)

» 2012年05月28日 08時01分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

鉄道と街づくり

大塚:鉄道と街づくりといえば、東京が注目されがちなのですが、「大阪市中心部で最後の一等地」とされるJR大阪駅北側の再開発地区「うめきた」(梅田北ヤード)も興味深いですよね。

 旧梅田貨物駅の約24ヘクタールに上る跡地を活用した一大プロジェクトで、先行して2011年5月に開業したJR大阪駅北側の駅ビルに「ルクア」という商業施設と「JR大阪三越伊勢丹」(以下、三越伊勢丹)という百貨店ができました。ルクアの売り上げは堅調に推移しているのですが、三越伊勢丹は不振を極めています。

 三越伊勢丹の売り場構成は従来の百貨店と比べてかなり異質なので、なじめない消費者を遠ざけてしまっているのかもしれません。そのような要因に加えて、大阪駅周辺というエリアで過当競争を引き起こしているのではないでしょうか。

大塚:JR大阪駅の南にある阪急百貨店梅田本店の改築が、今年中に完成します。このほかにもこのエリアには阪神百貨店、大丸梅田店があり、これら4つの百貨店の売り場面積を足せば計約25万2000平方メートルとなり、東京を代表する商業地区の新宿にある伊勢丹、高島屋、小田急百貨店、京王百貨店の売り場面積の合計よりも広い。

 百貨店の売り上げが低迷している中で、流通関係者は「過当競争で、つぶし合いになりかねない」との懸念が広がっています。さらに、JR大阪駅の北側で再開発が進んでいます。今のところ百貨店ができる予定はないのですが、ホテルやオフィスビルが建設されています。オフィスの仲介などを手がける三鬼商事によると、大阪地区の今年3月末のオフィス平均空室率は10.25%と高く、稼働状況が厳しい。にもかかわらず、まだオフィスができようとしている。またホテルがたくさんあるのに、JR大阪駅の北側にできようとしている。

高層ビルなどの建設が進むJR大阪駅北側の再開発地区「うめきた(梅田北ヤード)」(撮影:大塚圭一郎)

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