鉄道と街はどのように変化するのか――渋谷と大阪に注目するどうなる? 鉄道の未来(6)(2/5 ページ)

» 2012年05月28日 08時01分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
渋谷の真価が問われるのはこれから

大塚:東急田園都市線と東京メトロ半蔵門線はすでに乗り入れているので、渋谷は郊外の住宅地などと結ばれることになり、途中駅のひとつとなります。渋谷が真価を問われるのはこれからでしょう。

杉山:現在の東急東横線の渋谷駅は「終端構造」(列車が始発、終着駅になるような駅)。そこまで乗ってきた人は全員降ろされるので、そこから人が散ります。地下に潜ると始発、終発直前で折り返す列車はありますが、実質的に「折り返し駅のメリットはなくなる」と言ってもいいでしょう。

 通過駅か終端駅かは、街にとっては大問題ですね。新玉川線(現在の田園都市線)の渋谷駅は終端駅でしたが、東京メトロ半蔵門線に乗り入れて通過駅になった。しかも延伸していくうちに「三越前」なんて終点ができた時期があって、渋谷の東急デパートに行く電車が、ライバルの日本橋三越に行く電車になってしまった。東急線内の車内放送は「三越前行き」と言わず「半蔵門線方面行き」と言ったとか言わなかったとか……。

大塚:渋谷駅周辺の再開発はまだまだ続くわけですが、東急百貨店東横店を2013年から順次建て替え、商業施設やオフィスが入居する高層ビルにする計画です。関係者の話によると、東急グループは渋谷ヒカリエを「百貨店」にしないことで差別化を図っており、今の東横店がある場所に百貨店を残したい意向だそうです。東横店は今の位置に残したいようですが、そのときに今の煩雑な建物がどのように変わるのか。

 今の東横線が発着しているあたりに今度はJR東日本の埼京線や湘南新宿ラインが発着するプラットホームを移設し、山手線のホームと位置をそろえて乗りやすくする予定なので、そのときの渋谷の乗り換え需要などを含めて注目できますよね。

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