意外にオイシイ? 「誰も損しない」駅から歩こうイベント杉山淳一の時事日想(2/5 ページ)

» 2012年06月01日 08時01分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

参加者は1000人以上、でも混雑感がない

森林浴も楽しめるコースだった

 私が参加したイベントは5月24日に開催された「のどかな安比奈線沿いと自然遊歩道を歩こう」だ。スタート地点は西武新宿線の南大塚駅、ゴール地点は本川越駅。スタート受け付けは午前9時から11時。ゴール受け付けは午後3時。受け付けでコース案内図をもらって、その順路通りに自分のペースで歩くだけ。

 今回のコースは休止線となっている西武安比奈線の線路を眺め、入間川沿いの公園や自然林遊歩道を経由する。標準的な歩行時間は約2時間半とのこと。好天のため、とても気持ちのよい散歩だった。

 交差点など要所にガイドさんが立っている。そのひとりに聞いてみると、本日の参加者は1000人以上で、平日にしては多めだという。ちなみに、平日でも1600人を記録したコースがあったそうだ。告知は駅のポスターやパンフレットが主だから、たいした集客力といえよう。Webサイトでも告知しているが、参加者のほとんどがお年寄りなのでたぶん見ていない。ただし、中年男性や若い夫婦、女性グループも見かけた。私もネットでこのイベントを知った。

 無粋だと思いつつ計算してみた。南大塚は西武新宿線の終点、本川越駅のひとつ手前。この近くで乗降客数が多い駅は狭山市、新所沢、花小金井、田無。乗り換えも考慮すると所沢、東村山も利用者が多い。仮にこの6駅から200人ずつ、1200人が参加したとしよう。多くのお年寄りは定期券を持っていないので、普通のきっぷを買ってくる。帰りは本川越から普通のきっぷを買って乗車駅へ戻る。この仮定で集計結果は63万6000円となった。

 これはきっと少なめの見積もりだ。西武鉄道のもっと遠い駅からの参加者も多いはず。私は山手線で高田馬場から乗り換えている。終点に近い駅で開催すれば運賃収入は増える。つまり、100万円に届く数字を見込めるイベントだと思われた。

 1000人以上が参加したというイベントにもかかわらず、混雑感がないところもいい。これは街全体を使うための広さの効果だろう。午前9時過ぎの南大塚駅は大勢のお年寄りで混雑していたし、受け付けも人だかり。しかし歩き始めれば個々のペースが違う。コースをたどる間は、一人旅やグループ旅行と変わらない。

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