夢は西欧トップ5の留学支援企業、ベルリンで起業した日本人世界一周サムライバックパッカープロジェクト(2/4 ページ)

» 2012年06月05日 08時00分 公開
[太田英基,世界一周サムライバックパッカープロジェクト]
世界一周サムライバックパッカープロジェクト

日本以外の国でサバイバルすることに興味があった

――なぜスペイン(バルセロナ)へ?

森本 もともとはカナダに移住する計画だったのですが、思いがけない予定変更で、現在のパートナーとドイツのベルリンで起業し始めた約1年後、バルセロナへ移る計画を少しずつ立て始めました。

 プライベートな理由としては、より良い天候や生活環境などへの魅力。また、ビジネス面での理由としては、当初有限会社を設立するのに必要とした資本金がドイツは2万5000ユーロだったのに対して、スペインはたった3000ユーロという大きな違いがあったこと、またそのほか諸々の利点があると思ったからです。

建築中のサグラダ・ファミリア教会にて

――もともと海外で働くという志向をお持ちでしたか?

森本 「Yes」であり、「No」でもあります。

 母が高校時代に米国で1年間交換留学した影響を強く受け、当初は海外で働くというより、とにかく学生であるうちに海外に出てみることに強い興味がありました。

 ですが、諸事情により学生時代の海外留学が実現できなかったことから、まずは3年間日本で業務経験を積むことに専念し、その後ワーキングホリデイで海外へ行く方向へ計画変更しました。ある程度の業務経験と語学力があれば、何とか最低1年間は海外で食べていけるだろうと思ったからです。

 もちろん、できることなら、よりやりがいのある仕事に就きたいとは思っていましたが、出発時はあまりに高い理想は持ち過ぎず、イザという時はウエイトレスの仕事でも何でもやってみるつもりでした。なので、日本にいたころ、海外へ出たいと思っていた当初は、海外でバリバリ働くというより、まずは1年間、日本以外の国でサバイバルしてみること自体に、興味があったのだと思います。

――欧州で事業をするのに立ちはだかった困難はありましたか?

森本 月並みですが、言語力で苦労しました。これは特に、スタッフを雇い始めてから痛感したことです。

 人を管理すること自体が初めてだった上に、自分の母国語でない言語で人を管理するのにはとにかく苦労しましたし、今でも勉強&トライ&反省の繰り返しです。

――スペインと日本とで、異なる商習慣・労働条件などがあれば教えてください。

森本 スペインと日本とで特に異なると思ったのは、留学を検討される学生や保護者たちとのコミュニケーションの形です。

 日本からの学生や保護者の場合は、まずはサイトをご覧いただき、さまざまな質問などをまとめられた後、まずはメールをいただき、その後メールもしくは電話でカウンセリングを進める、というのが主なパターンです。一方、スペインからのお客さまの場合、とにかくまず電話でお話しすることを重視するお客さまが多いな、と感じます。

 また、電話でご相談いただく内容も、弊社のサイトに掲載されていないような、より詳細のご質問というより、サイトをご覧いただき、電話番号を見つけていただいたら、まずはとにかくお電話をされ、質問はそれから考える、という方が結構多いのは、日本と特に違うところだと思います。

――欧州の若者の留学事情について教えて下さい。

森本 欧州圏の人たちは、若い人たちの大半が一度は何らかの形で語学留学や外国での生活経験を積んでいます。

 日本と違い、外国がすぐ近くにある欧州は、その点とても恵まれているなと思いますが、欧州圏外への留学事情に関しては、国によって随分異なります。

 スペインやイタリアなど南欧の若者たちは欧州圏外へ出る人たちがまだまだ少ないのに対し、ドイツやスイス、そのほか北欧圏の若者たちはびっくりするぐらい遠いところまで行ってアドベンチャーを経験する若者がたくさんいると思います。

――欧州の若者が留学する先、言語などにおいて、日本との違いはみられますか?

森本 これも国によって異なるのですが、スペインやイタリアの場合、学校での英語教育にあまり頼らず、語学留学を通して英語を身に付ける人が多いです。そのため、南欧圏の人たちの留学先は、英語圏が大半を占めます。

 それに対して、中欧・北欧圏の人たちの場合は、母国語と英語が似ていることや、学校教育だけでもある程度の英語力が身に付けられることから、英語圏だけでなく、第2、第3外国語を学ぶ人が多く、最近は特にスペイン語圏への留学が人気を集めています。

 日本からの留学生については、弊社オフィスが欧州にあるためかもしれませんが、意外と英語圏以外での留学相談をされる方が多いです。

 英語ができるできないに関わらず、中学から大学まで、そして受験と、日本でとにかく面白くない英語漬けの日々が重なったせいか、「英語はもうたくさん!」という理由で、まずは英語以外の言葉から留学をスタートする人が、少しずつ増えてきている気がします。

 それは自身の日本での英語経験からもよく理解できるし、私個人的にはそれもOKだと思います。英語はもちろん大事ですが、海外=英語圏ではないですし、どの国であっても、海外で貴重な経験を積む第一歩を、何らかの形で始めていただくこと自体に意義があるのでないかと思います。

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