基本的に、定年の法制化は雇用における年齢差別である(雇用と年齢は関係がないという趣旨で、求人票に年齢を記載するのを禁止するのであれば、定年を就業規則で定めるのも禁止するのが一貫性のある姿勢というものだ)と思う。しかし、年金財政の逼迫(ひっぱく)度合いを考えれば受け入れるしかないとすると、60歳になっても組織に貢献できるような育成や配置を行うことによって、“貢献寿命”を延ばすよりほかに方法がない。
“貢献寿命”が60歳を前に終わってしまうという現実は、企業が、採用したら解雇できないという労働規制の存在を知っていたのに、育てる、生かすことに失敗したという面もあるだろう。しかし、ピーターの法則にあるとおり、それぞれ成長には限界があり、出世していってもどこかでそれぞれが能力的限界を迎えて、そのポストに落ち着く。
ビジネスパーソンには、“成長寿命”というものもあるわけだ。成長のための行動を怠れば、早くに“成長寿命”が来てしまい、そうなったらいくら貢献しようと頑張っても難しい。つまり“貢献寿命”も短くなってしまう。“労働寿命”が到来する年齢まで、お荷物にならずに貢献し続けるためには、“成長寿命”を延ばす努力が欠かせないということになる。(川口雅裕)
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