この連載は書籍『ソーシャルインフルエンス 戦略PR×ソーシャルメディアの設計図』(アスキー・メディアワークス)から抜粋、再編集したものです。
企業のマーケティングや広告、PR、ソーシャルメディアの担当者たちが日々頭を悩ませていることは、CMのクリエイティブやメディア露出量、集客数、フェイスブックの「いいね!」の数などです。ところが、それらは手段であって目的ではありません。本当の目的は「世の中を動かし、ブームを起こす」ことです。
消費者の価値観やメディア環境の変化、特にソーシャルメディアの登場によって、かつてのコミュニケションプランニングでは世の中を動かすことが難しくなってきました。そこで、新しい時代のコミュニケーションコンセプトが必要です。
本書では、ソーシャルメディアや戦略PRの限界を超えて、「人を動かし、話題を起こし、世の中を動かす」新しいチカラ、「ソーシャルインフルエンス」の全貌とその方法論について解説します。
池田紀行
株式会社トライバルメディアハウス代表取締役社長。マイクロソフト、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン、Z会などのソーシャルメディアマーケティングを手掛ける。近著『キズナのマーケティング』(アスキー新書)。
本田哲也
ブルーカレント・ジャパン株式会社代表取締役。米フライシュマン・ヒラード上級副社長兼シニアパートナー。国内外の大手メーカーなどを中心に戦略PRの実績多数。近著『新版 戦略PR 空気をつくる。世論で売る。』(アスキー新書)。
僕とあなたは、おそらく近いところで仕事をしているのだと思う。この本を手にとっているのだから。広告やPR、ソーシャルメディア……もちろん、これからその仕事を目指す学生さんや転職志望者、あるいは企業経営に近い立場の方もいるだろう。立場は変われど、この数年で、これらの領域――あえてくくれば、マーケティングコミュニケーションの領域―がさまざまな「変化」にさらされてきたことには皆さん同意するだろう。
ウェブ2.0と呼ばれた潮流から始まったデジタルメディアテクノロジーの進化は、いま現在「ソーシャルメディア」と呼ばれるひとつの情報環境にまで達した。人々は相互につながり、この環境はインフラ化していく。一方では、「もう広告が効かない」という煽りにも近い声があがり、広告を補完する手法としてソーシャルメディアマーケティングや戦略PRなどに注目が集まった。企業は従来型と新しいやり方の試行錯誤をくり返して、どうやら「組み合わせが大事」なんだ! ということに気がつきつつある。ネットとそこで生成されるクチコミは「疑り深い消費者」を誕生させ、ソーシャルメディアはそれをさらに「関与する生活者」へと進化させた。そのさなかに発生した東日本大震災は、僕たちの価値観をより社会関与の高いものへと変化させた。
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