1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。
消費税増税法案が衆議院で可決されて、いよいよ増税が本格化してきた。
テレビではおなじみの、新橋SL広場のサラリーマンたちへのインタビューが流れ、「孫や子の代に借金を背負わせちゃいけないので賛成です」だとか「将来が不安です」だとか、それぞれの意見を述べている。
今回の増税に対してさまざまな意見をチェックしていたら、「消費税を上げたら自殺者が増える。野田首相は人殺しだ」みたいな主旨を訴えている方が意外と多いことが分かった。
消費税を上げたら中小零細企業は業績悪化で雇い止めとなり、失業率も上昇する。あらゆるものに課税されるので、低所得者ほど負担が多くなる。このWパンチで「もうダメだ」と生きていくことをギブアップしていく人が増加するというわけだ。
風が吹けば桶屋が儲(もう)かるではないが、確かに説得力はある。このように訴える人からすると、過去の消費税増税と自殺率アップも因果関係があるらしい。
前にこのコラムでも紹介したが、日本の自殺率がドカンと増えて3万人代になったのは1998年(関連記事)消費税が現在のように5%になったのは1997年。消費税がドカンと上がって失業率が上昇したり、生活が苦しくなったりして、ジワジワと追いつめられて翌年に影響が出たというのだ。
なるほどなあと思う反面でしっくりこない部分もある。じゃあ、そもそも消費税が初めて導入された1989年の翌年もガツンと自殺率が上がっていなければいけないのに、前年よりも減少。さらにジワジワと影響が出てそうな翌90年もさらに減少しているのだ。
個人的には、消費税増税なんてロクでもないと思っているので、増税で自殺率がアップすると訴えている方たちに肩入れしたい気持ちはあるが、やはり説得力が弱い。
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