「消費税をあげたら自殺率もあがる」ってホント? メディアの罪に迫る窪田順生の時事日想(3/3 ページ)

» 2012年07月03日 08時02分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]
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 そんな調子で、日本のメディアが自殺ブームを追っているまさにその時、海のむこうでのドイツではゲッベルスが帝国放送協会を国有化し、せっせとラジオを介してナチスのプロパガンダを流し、米国やら同盟国もその見事な手口を研究していた。

この時代、「メディア」は「プロパガンダ」とほぼ同じ意味だった。要するに、ナチスがドイツ国民を煽動するためにつかった「力」を、日本の場合は「自殺の啓蒙」に用いてしまったというわけだ。

 この自殺フィーバーからほどなく、日本の自殺者は初めて年間1万5000人に達している。ジャーナリズムだとか、報道の自由だとかいろんな宣伝文句は生まれたが、その力は基本的に今も変わっていない。

 町工場の「死にそうだ」という悲鳴を取り上げては、これぞ社会正義だと流しているメディアは、そろそろ自分たちが操っているものの「本当の力」をちょっとは意識した方がいい。

メディアは自分たちの「本当の力」を意識した方がいい
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