そんな調子で、日本のメディアが自殺ブームを追っているまさにその時、海のむこうでのドイツではゲッベルスが帝国放送協会を国有化し、せっせとラジオを介してナチスのプロパガンダを流し、米国やら同盟国もその見事な手口を研究していた。
この時代、「メディア」は「プロパガンダ」とほぼ同じ意味だった。要するに、ナチスがドイツ国民を煽動するためにつかった「力」を、日本の場合は「自殺の啓蒙」に用いてしまったというわけだ。
この自殺フィーバーからほどなく、日本の自殺者は初めて年間1万5000人に達している。ジャーナリズムだとか、報道の自由だとかいろんな宣伝文句は生まれたが、その力は基本的に今も変わっていない。
町工場の「死にそうだ」という悲鳴を取り上げては、これぞ社会正義だと流しているメディアは、そろそろ自分たちが操っているものの「本当の力」をちょっとは意識した方がいい。
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