アスキー総合研究所所長の遠藤諭氏が、コンテンツ消費とデジタルについてお届けします。本やディスクなど、中身とパッケージが不可分の時代と異なり、ネット時代にはコンテンツは物理的な重さを持たない「0(ゼロ)グラム」なのです。
本記事は、アスキー総合研究所の所長コラム「0(ゼロ)グラムへようこそ」に2012年6月27日に掲載されたコラムを、加筆修正したものです。遠藤氏の最新コラムはアスキー総合研究所で読むことができます。
先日、マイクロソフトが「Surface」という自社製・自社ブランドのタブレットを発表して(参照記事)、業界ではちょっとした衝撃が走った。なにしろ、これまで「Windows」を提供してきたマイクロソフトが「今度は、ボクがハードウェアもまるごと作るからさ」とジャイアニズムを発揮してきたからだ。いままでPCの生態系で一緒にやってきた、デルやHPや日本メーカー、台湾のODM・OEMメーカーがびっくりしても無理はない。
Surfaceの発表の中で、スティーブ・バルマーCEOは、「ハードウェアとソフトウェアを一緒に開発することが重要」と発言したそうだ。これは、受け取る相手によってその意味が大きく変わってくる言い回しだ。バルマーは、「ソフトウェア(Windows 8)をより良くするために、我々はハードウェアを作ることもやった」と言いたかったのかもしれないが、「ソフトウェアと一緒に開発したハードウェアが最高で、これがみんなが使うべき唯一のマシンになっていくんだよ」と一部の人には聞こえると思う。
しかし、わたしは、マイクロソフトにはそんなにひどいことをやったつもりがないのではないかと思っている。同社は、「すでに人々がWindows 8をすっかり理解している」と考えたのではないかと思うからだ。すでに理解されていると考えていたから、そのための理想のハードウェアをデモンストレーションして見せたのではないか。しかし、業界が理解していたのは、同社がXbox 360のようにハードウェアを世界中にデリバリーする能力を持っているというところまでだった。
さて、その「みんなが理解している」と思われたWindows 8とは、どんなものなのか?
Windows 8の最大の特徴は、スタートアップ画面が「Metro(メトロ)」という新しい操作体系になっていることだ(参照記事)。これは、同社のスマートフォンである「Windows Phone」でも採用されているし、世界的なヒット(日本など一部を除けば)になっている家庭用ゲーム機「Xbox 360」でも利用されるタイル形のメニューである。
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