未来に追いついた? 映画や漫画に出てきそうなカーナビ仕事をしたら“未来”が見えてきた(後編)(3/4 ページ)

» 2012年07月07日 00時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

「これでいける!」と思った瞬間

土肥:HUDの開発に携われてきて「これでいける!」と思った瞬間はありましたか? 

古賀:2010年と2011年に「CEATEC」(最先端IT・エレクトロニクス総合展)で、HUDを展示しました。ただ1年目のときは「ARを使って……」といったコンセプトではありませんでした。ドライバー席の前にあるスピードメーターの上あたりに専用のコンバイナーを設置して、情報を浮かせて表示していました。走行しているところに地図があって……まるでロボットが動いているといった感じでしたね。

 そして翌年のCEATECでは、目の前の風景に情報を重ねるARを取り込みました。HUDもサンバイザー部分に設置して、今の形にかなり近いモノでしたね。フロントガラスの前方1.5〜2メートル先の空間に19インチ相当の映像を浮かせて表示しました。

 1年目も反響はあったのですが、2年はさらに大きな反響がありました。多くのメディアから注目され、体験試乗をしていただくのに「60分待ち」といった状況でした。たくさんの人から好意的な感想をいただいたので、「自分たちが目指していた方向は間違っていなかった。これでいける!」と思いましたね。

 ただHUDは、今後も“変化”していかなければいけません。「近未来のカーナビがやってきた」という声もありますが、機能面ではまだまだ発展させていく余地があります。

 情報量は本当にこれでいいのか。どの情報を表示して、どの情報を表示しないのか。さらに映し出すときにどのように表現すればいいのか。こうした点についてはもっともっと検証して、最適な形を研究していかなければいけません。

2010年(左)と2011年(右)に開催されたCEATECに、HUDを出展した

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