未来に追いついた? 映画や漫画に出てきそうなカーナビ仕事をしたら“未来”が見えてきた(後編)(2/4 ページ)

» 2012年07月07日 00時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
HUDの開発に携わった、パイオニアの古賀さん

古賀:苦労はたくさんありましたが、その中のひとつ「暑さ」対策には悩まされました。夏、クルマの中はとても暑くなりますよね。例えば外が40度のとき、クルマの中の温度を計測したところ75度もありました。

 HUDはレーザーをつかって映像を描いているのですが、暑さの中でそれを表現することは難しい。なぜなら、暑ければ部品が壊れてしまうから。

 暑さをどのように克服したのか――。具体的には企業秘密の部分もあって言えないのですが、「温度に合わせて光らせる」といった技術をつかいました。例えばこの温度のときには、このように光らせるといった感じですね。

土肥:車内の温度が75度で運転する人はいません。クーラーをつけたり、窓を開けて運転するので、それほど暑さを心配しなくてもいいのではないでしょうか?

古賀:車内の温度とHUDを設置するところの温度は違います。また温度の下がり方にも違いがあります。車内の温度はすぐ下がるのですが、HUDを設置するサンバイザー部分はなかなか下がりません。

 クルマの中はいったい何度になるのか。日本全国の年間の最高気温と最低気温を調べました。そうして暑さにも耐えられるモノを完成させました。

 また「明るさ」にも気をつけました。昼と夜とでは明るさが当然違うので、こまかくデータを収集しました。まぶしいときにはどのくらいの色にすればいいのか。明るいときにはどのくらいの色にすればいいのか。逆に、暗いときにはどのくらいの色にすればいいのか。何度も何度も、繰り返し検証しました。

 ところで、ドイさん。HUDをつかうときに、どういった気象条件が一番厳しいと思いますか?

土肥:うーん。なんだろう? ひょっとしたら晴天かな。雲がないときの空というのは真っ青だし。

古賀:残念ですが、違います。正解は、HUDの先に真っ白な雲があるとき。この気象条件は厳しいですね。白色が見えなくなったりしますので。

 でも、ご安心ください。そうした気象条件でも、白色がきちんと見えるようにしました。

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