今は2012年? そう思わせるような“近未来のカーナビ”が登場した――。
パイオニアが発売する「カロッツェリア サイバーナビ」(HUDユニット付き、30万〜32万円)。これは戦闘機のコックピットなどで使われているヘッドアップディスプレイ(HUD)の技術を使い、ナビ画面をフラントガラスの前方に見えるように投影させたものだ。
実際にHUDを装着して運転してみると、見慣れた走行風景が一変する。ドライバー席からはルート情報や車間距離などが、実際の走行風景に重なって見える。また視線移動が少なくすむので、実用性も兼ね備えているといっていいだろう。
近未来の運転スタイルを提供するパイオニアは、このサイバーナビを開発するにあたってどのような紆余曲折があったのか。最先端技術を搭載させているが、安全性は本当に大丈夫なのか。HUDの開発に携わった古賀哲郎さんに話をうかがった。聞き手は、Business Media 誠編集部の土肥義則。
土肥:こうしてヘッドアップディスプレイ(HUD)を見ると、メガネのような感じもしますね。コンバイナーを支える部分は、メガネのテンプル(つる)のようにも見えます。
ただ、第一印象はこのように感じる人が多いのではないでしょうか。漫画『ドラゴンボール』に登場してくる「スカウター」だと。スカウターとは半透明の小型スクリーンに、相手の戦闘能力などが表示される。また通信機能なども備えていましが、HUDもこのスカウターを意識されたのでしょうか?
古賀:いえ。それはないですね。
土肥:人間のように歩くロボット「ASIMO」の生みの親である本田技術研究所の方は、会社からこのように言われたそうです。「鉄腕アトムをつくれ」と。もちろん「鉄腕アトム」と同じモノをつくれという話ではなく、生活をしていくうえで役立つロボットの開発を目指していました。
「ASIMO」は手塚治虫さんの漫画に登場してくるキャラクターの影響を受けたそうです。
古賀:社内の人間に「ドラゴンボールのファンがいたから、HUDが完成した」というわけではありません。私たちが目指していたモノが、結果的にスカウターの形に近かった、といった感じですね。
ただ2011年に発売した「サイバーナビ」には「ARスカウターモード」という名前をつけました。もちろん相手の攻撃能力が表示されるわけではなく、フロントガラス越しの映像にナビ情報や車間距離などを重ねて表示する、といったものですね。
土肥:昨年発売されたサイバーナビもかなり注目を集めましたよね(関連記事)。ネット上でも「未来のカーナビが登場した」といったコメントが多かったのですが、今回のは「さらに未来のモノがやって来た」といった印象を受けました。
HUDを開発するにあたって、どのようなことに苦労されたのでしょうか?
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