なぜ映像が浮かび上がるの? 近未来のカーナビが登場した仕事をしたら“未来”が見えてきた(前編)(1/5 ページ)

» 2012年07月04日 08時02分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 今は2012年? そう思わせるような“近未来のカーナビ”が登場した――。

 パイオニアが発売する「カロッツェリア サイバーナビ」(HUDユニット付き、30万〜32万円)。これは戦闘機のコックピットなどで使われているヘッドアップディスプレイ(HUD)の技術を使い、ナビ画面をフラントガラスの前方に見えるように投影させたものだ。

 実際にHUDを装着して運転してみると、見慣れた走行風景が一変する。ドライバー席からはルート情報や車間距離などが、実際の走行風景に重なって見えるのだ。また視線移動が少なくすむので、実用性も兼ね備えているといっていいだろう。

 近未来の運転スタイルを提供するパイオニアは、このサイバーナビをどのように開発したのか。最先端技術を搭載させているが、安全性は本当に大丈夫なのか。HUDの開発に携わった古賀哲郎さんと、医学的見地から実証実験を行った北里大学の魚里博教授らに話を聞いた。聞き手は、Business Media 誠編集部の土肥義則。

カロッツェリア サイバーナビ「AVIC-VH99HUD」(左)とAVIC-ZH99HUD(右)

なぜ映像が浮かび上がるの?

古賀:ドイさん聞いてくれますか? クルマにHUDを装着してガソリンスタンドに入ったら、スタッフの人にこのように言われました。「なんっすか、これ? なんか緑色のものがピカッって光りましたよ」と。

 「これはHUDというモノで……」と説明したところ「すげー! カッコイイっすね」「いつ発売するんですか? オレもほしいですよ」と言ってくれました。

土肥:何も知らない人にとっては、驚くでしょうね。HUDはドライバー席からはよく見えるのですが、助手席からは全く見えません。少し角度を変えるだけでも見えなくなるので、スタッフの人も「チラッと何かが見えた!」といった感じだったのではないでしょうか。

 それにしても、なぜナビ情報がフロントガラスの前方に見えるのですか? 文系人間の私には、さっぱり分かりません。

HUDを装着すれば、目の前の風景に情報を重ねて見ることができる
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