なぜ中国人はコーヒーを飲むようになったのかローソンの海外物語(中国編)(3/4 ページ)

» 2012年07月11日 08時01分 公開
[ローソン海外事業研究部,Business Media 誠]

ローソンもコーヒー戦争に参戦

 中国では、コーヒーが急速に浸透しています。今では、地元のコンビニはもちろん、日本から出店しているコンビニもコーヒーを取り入れています。

 上海ローソンも今年の春から店内で提供するコーヒー「MACHI cafe(マチカフェ)」を導入しました。それ以前は、上海ローソンにはコーヒーがありませんでした。

 「中国ではこんなにもコーヒーが流行っているのに、コーヒーがないなんて……。ローソンまずいじゃん!」。そんな声が聞こえてきそうですね(汗)。

 日本のローソンでは、昨年から「MACHI cafe」を導入しています。この噂を聞きつけた上海ローソンから、メッセージが届きました。

 「上海でも『MACHI cafe』を導入したい」と。

 依頼を受けたローソン本部の“コーヒー部長”は、即座に上海へ飛び立ちました。現地に到着したコーヒー部長は唖然。立ち並ぶコーヒーショップ、スターバックスのカップを持ち歩く若者たちに圧倒されたのです。

 「上海でコーヒーが、こんなにも流行っているとは。これはすぐに販売を始めないと……」

 焦燥感にかられたコーヒー部長は、早急にプロジェクトを立ち上げました。まずは、たくさんのコーヒーショップを回り、飲み比べを開始。ただ前述したとおり、中国のコーヒーは甘い。コーヒー部長は悩みました。「日本の『MACHI cafe』をそのまま持ち込んでも売れない。中国人の嗜好に合わせなければ。でも『MACHI cafe』のこだわりのコーヒー(ブラック)で売りたい。どうしたらいいんだろう」と。

 市場調査を行うために中国出張が多くなったコーヒー部長。上司からは“出張禁止命令”が出たほどでした。

 連日、中国人に好まれるコーヒーをどのようにつくればいいのか、を考えました。その結果、日本で使用しているイタリア製のコーヒーマシンを、中国用にマイナーチェンジ。甘いフレーバーメニューを増やすことができる仕様にしました。これは、中国での市場調査の結果、甘いドリンクメニューの人気が高いことが分かったからです。

 そして味も中国版に改良。看板メニューのカフェラテは、砂糖の甘さだけではなく、ミルクの甘さを強調しました。現在、メニューはブラック(12元、150円)とカフェラテ(14元、174円)の2種類を販売。中国でも「MACHI cafe」を流行らせたいという願いからネーミングはあえて日本と同じものにしました。

上海市内にあるローソンのマチカフェ

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