鉄道会社が夏休みにもうける方法杉山淳一の時事日想(2/4 ページ)

» 2012年08月10日 08時00分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

ポケモンスタンプラリーは20万人規模の参加

 JR東日本東京支社の「ポケモンスタンプラリー」は1997年から開催されている。もう15年も続いているが、15周年というキャッチフレーズはない。青春18きっぷの30周年イベントもないし、JRグループは周年イベントそのものに関心が薄いらしい。

 それはともかくとして、ポケモンスタンプラリーの参加者数は意外と多い。三井住友アセットマネジメントが2010年11月2日にインターネットで公開したレポート(参照リンク)などを読むと、2003年以降2006年までの参加者は20万人台、2007年と2008年は30万人台だったという。

 2003年はポケモンスタンプラリーの実施エリアが東京都区内から首都圏へと拡大された年である。エリアの拡大によって参加者を増やし、好調に推移していた。しかし、2009年は21.3万人へと10万人近く減ってしまったという。翌年の2010年の参加者は18.7万人で、さらに減っている。三井住友アセットマネジメントはこの現象を、「この子どもたちの親の世代が、リーマンショックによって経済的影響を受けている」と分析している。

 減っているといっても18万人以上を動員するイベントである。参加は無料とはいえ、電車に乗らないとスタンプを集められないわけで、当然ながらきっぷが売れる。あるいはチャージ収入が増える。ちなみに、JR東日本のフリーきっぷ「都区内パス」は子どもが360円。18万倍すれば6480万円だ。駅で観察するかぎり、子どもたちだけの参加ではなく、心配して同伴する大人も電車に乗る。2日間かけて回る子どもなども考慮すれば、ざっと1億円の収入が見えてくる。

 もっとも大規模だった年の場合、関東の約100駅のうち、数駅を回ってゴールすると、全スタンプを対象とするスタンプ帳がもらえた。これをコンプリートしようとするなら、首都圏の約100駅を訪問する旅にでなくてはいけない。首都圏対象のフリーきっぷは「ホリデーパス(現在は休日おでかけきっぷ)」で、有効期間1日、料金は大人2300円、子ども1150円。すべての人がこの第2ステージにチャレンジするとは限らないが、きっぷの単価も高いし、期間も必要だから、さらなる増収となるだろう。

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