やはり英語は必要なのか? 日本人にとっての壁佐々木俊尚×松井博 グローバル化と幸福の怪しい関係(2)(4/5 ページ)

» 2012年09月07日 09時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

英語を使わざるを得ない状況に?

佐々木:この流れは変わらないと思うんですよ。グローバル市場でいえば米国、欧州、アジアの市場がある。しかし中国やインドには、人口が10億人以上いるので、国内だけで十分成り立ってしまう。

 東南アジアには4億〜5億人くらいいるので、日本の企業もその市場を狙っていて、グローバル化みたいなことは考えているわけですよ。ただグローバル化に乗れる企業と乗れない企業があって、日本のレガシーな企業がその流れに乗れるとはとうてい思えない。その時にどんどん崩壊していく状況を我々はどうやって見守ればいいのか。

松井:中途半端に東南アジアに進出しても、そこに欧米の企業がいずれどーんと来るでしょう。いずれにせよ、どこかのタイミングで米国や欧州のグローバル企業と戦わなければいけないんですよ。

 グローバル化のために、日本では「社内公用語は英語」とする企業が増えてきました。楽天も社内では英語が使われているのですが、理解できる部分が半分、理解できない部分が半分くらいあるんですよ。

佐々木:理解できないというのは、どういった部分でしょうか?

松井:全員に英語を勉強させ、会議でも英語で話すというのは究極的な行動ですよね。でも、いきなり全員に「英語を話せ」というのは果たして効率的なのだろうか、と思うんです。

 アップルジャパンも当初は日本語で話していました。なぜなら英語ができる人が少なかったから(笑)。でもビジネスのスピードがあがってきたら、もう一度翻訳して……といった手間が惜しくなって、事実上社内公用語が英語になってしまった。それでも日本人同士は日本語で話しています。

 ビジネスのスピードを上げようという狙いがあれば社内に英語を導入してもいいと思うし、多様な視点を取り入れたいというのであれば共通言語が必要。そういう意味では英語は便利なんですね。ただ、楽天のようにいきなり、しかも日本人だけの会議ですら英語を強要するのは、ちょっと疑問に感じます。英語が必要ない部署も相当あるでしょうし。

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