テレビ局は「事故の詳細が分からない」というが、チンパンジーが人を襲うのに「詳細」もへったくれもない。
アフリカに行けば、チンパンジーは「肉食の猛獣」扱いである。森の近くに暮らす人たちは、野生のチンパンジーが牙をむき出して、別の群れのチンパンジーを襲い、頭をかち割ってムシャムシャ食べる光景を目にしている。一部の霊長類の特徴である「子殺し」もバリバリやるし、人間の子どもをさらう被害も報告されている。
自然の中ではそういう行動をとっているので、そもそもオーバーオールを着させられて、芸を仕込まれる方が、彼らにとっては「アクシデント」みたいなもんだ。
2010年の環境省内の審議会で、日本動物水族館協会理事は、「志村どうぶつ園」についてこう述べた。
「我々から見てもあまりにうそでして、チンパンジーは確かに賢いんですけれども、あんなには賢くないものですから、服も着ていませんし、あれはいかがなものかということで、倫理委員会を何回も開きまして、改善勧告等をいたしました」
「不自然」を強いられた野生動物はどのような行動に走るのか。自然を支配できると奢っていると、いったいどのような酷い目にあうのか。
そういう大事なことを子どもたちに教えることこそが動物番組の本当の役目のような気がしなくもない。
「志村どうぶつ園」では、よくタレントと動物の交流なんかを流して、スタジオの出演者たちが感動して泣いている。ならば、パンくんがこの8年間、どのような目にあってきたのかをぜひつまびらかにしたらいい。きっと涙なくしてはみられないはずだ。
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