コラム
» 2012年09月21日 08時01分 公開

「のんびりゆったり」はローカル鉄道を潰す杉山淳一の時事日想(3/6 ページ)

[杉山淳一,Business Media 誠]

国道のクルマより早く走るべき

 時速38キロメートル、という表定速度の数字だけを見て、「国道の制限速度よりずっと低い」から「遅い」などと思ったら誤解の始まり。ちなみに、私のクルマに搭載された計時機能によると、東京から横浜まで、一般国道で、渋滞をなるべく避けて、お巡りさんに叱られない程度のスピードを出して「平均速度」は時速25キロメートルくらいである。それに比べると列車の表定速度の時速38キロメートルはかなり速い。

 渋滞の少ない地方の国道を走るクルマなら、平均速度はもう少し高いかもしれない。それでも平均時速38キロメートルは難しかろう。私は長野県松本市で4年間暮らし、ほとんどクルマ生活だった。よく整備された主要国道も都市部や他の主要道路との結節点は渋滞するし、ここぞという場所でお巡りさんは待ち構えている(笑)。もちろん冬季は凍結もある。ちなみに、松本市を走る松本電鉄上高地線の表定速度は時速25〜28キロメートル。クルマといい勝負ではないか。赤字で経営は厳しいというが、上高地線は年間で約130万人の利用者がいる。

 ローカル鉄道において「クルマより速い」は、かなり重要だ。移動するときに列車を選ぶかクルマやバスを選ぶか。ほとんどの人々が「目的地に早く着くほう」または「移動時間の短いほう」を選ぶだろう。好き嫌いで選ぶなんて鉄道ファンやバスファン、クルマ好きだけだ。では、鉄道を選んでもらうにはどうしたらいいのか。ひとつのテーマは「クルマより速く走るべき」である。これは都会も田舎も変わらない。

車窓は確かにのんびりした風景。しかし実際は速い。窓を開ければ息をできないくらい風が入り込む

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