この連載は誠ブログの人気エントリーから誕生した書籍『就職は3秒で決まる。』の一部を抜粋、編集したものです。就活の最大の問題点は「ビジネスマンが就活・仕事に関して、本音で語ってこなかったこと」。例えば、多くの面接官が採用する「3秒ルール」は、面接官が語りたがらない本音です。いわゆる面接対策本のような小手先のテクニックではなく、面接時の心構えや失敗のない仕事の選び方など、メンタル面を中心に斬新かつ大胆に提言しています。就活のプロではないからこそ書ける「リアルな本音」を綴ったのが『就職は3秒で決まる。』なのです。
1971年、千葉県生まれ。ビジネスコンサルタント&執筆業。荒木News Consulting代表。早稲田大学で心理学を学び、帝人株式会社に入社。半年で退職。その後PR会社で働きながら独自のマーケティング理論を確立、28歳でフリーランスとして独立。以降、マーケティングリポートの執筆、セールスプロモーションのプランニング、PRコンサル、新規事業の企画開発、農業ビジネス主宰など、業界をまたいで様々なビジネスを手掛ける。
学生時代は就職氷河期第1世代として就活を体験。独自の就活スタイルを武器に、面接の突破率は9割以上を誇る。このとき、就活にまつわる「ヒジョーシキな常識」に疑問を持ち、以降、ビジネスコンサルタント業の傍ら就活に関する取材を行う。著書『名刺は99枚しか残さない』(メディアファクトリー)
お役所に行って、不愉快な思いをした人は大勢いるだろう。職員の仕事は遅く、よく分からない専門用語を使い回したうえ、挙句の果てには「担当が違いますので」と、役所内をたらい回しにされる。このように、融通が利かない仕事ぶりを「お役所仕事」と呼ぶ。国民がいくら文句を言っても改善されないのは、お役所にはお役所の「常識」があり、職員はその「ルール」に従って働いているため。
こうした理不尽な話はお役所に限ったことでなく、どの世界にもそれぞれ「独特の常識」があり「独特のルール」がある。それらの多くは端から見ると理解に苦しむことが多いが、部外者は抗する手段を持ち得ないので、その独特な常識とルールに従わざるを得ない。それが世の中というもの。さて、就活にも「独特の常識」と「独特のルール」が存在するのを知っているだろうか。
就活に挑む学生は毎年およそ50万人にのぼるが、そのうち面接官が「採用したい」と考える学生は、たった10万人しかいない。つまり、就活生の2割。必然的に、残りの40万人は“採用の対象外”となる。これはすなわち「就活生の8割には関心がない」「最初から採用する気がない」と言っているに等しい。信じがたいことだが、現に面接官たちは、さも当たり前のようにこうした会話を交わしている。
ここでふと、疑問が生じるはず。筆記テストも面接もしていない段階で、面接官は何を基準に、採用の対象とするか否かの判断をするのだろうか。その答えが「学歴」。面接官は大学名によって、就活生を機械的に次の3タイプに分類する。
1と2を合わせるとちょうど10万人。面接官はここまでの学生を優秀とみなし、就活においてさまざまなアドバンテージを与え、積極的な採用に乗り出す。それでは採用対象外のレッテルを貼られた40万人の運命はどうなるのだろうか。
「学歴なんかで判断されてたまるか」「今さら学歴は変えられないんだけど……」。特に採用の対象外を“宣告”された40万人なら、このような思いを強く抱くに違いない。そして、当然のように、次のように考えるだろう。「それなら、面接でしっかり自分をアピールしよう」。面接に進みさえすれば、学歴にかかわらず、自分の能力や個性をきちんと評価してくれるはず。何せ相手は、何千人もの就活生を面接しているプロ中のプロの面接官。人を見る目は確かなはず。
ところがどっこい、就活はそんなに甘くないし、多くの理不尽がまかり通る独特な世界。就活生の意気込みとは裏腹に、とんでもない面接が待ち構えている。それが就活2つめの常識。なんと「面接は3秒で決まる」のだ。
そんなバカな? 3秒と言えば、ほとんど第一印象。就活生が会議室のドアを開け、失礼しますと元気良く入室し、お辞儀を終えて顔を上げる。この一連の動作に要する時間がほぼ3秒。このうち面接官と目が合っている時間は、せいぜい1〜2秒。要するに、目が合ったその瞬間、すでに面接の合否が決まっていることになる。
「3秒で人を判断するなんてできっこない」「人をバカにするのもいい加減にしろ!」と、就活生なら怒り心頭となるだろう。でも現実に、面接は3秒で決まる。あまりにもひどい話のため面接官は黙っているが、これは就活の“公然の秘密”である。
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