なぜ鉄道映画が注目されているのか――『旅の贈りもの』制作者インタビュー(前編)杉山淳一の時事日想(6/9 ページ)

» 2012年10月19日 08時00分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

杉山:そこで第3弾の話は出ないんですか。

竹山:JR東日本さんと京急電鉄さんが、次はウチでやってくださいというんです。ただ、僕は近代的な車両よりもレトロな車両の方がいいんですよ(笑)。

杉山:京急の電車はかなり新しくなってしまいましたね。

竹山:でも、取っておいた電車があって、映画をやるなら復活させますからって言ってくれています。

杉山:いい話ですね(笑)。でも、そうして売り込みたい鉄道会社がある一方で、竹山さんが観せたい鉄道のイメージもある。

竹山::鉄道の旅というのは、今の鉄道はたしかに近代的で乗りやすいし、椅子も改良されて長旅で疲れないようにできているけれども、昔の鉄道の旅の方が旅情感というか、郷愁というか、あるじゃないですか。僕らが撮りたい車両は、今まで頑張ってきた車両です。鉄道会社は簡単に潰しちゃうでしょう。新しいものを作って、古いものは博物館行き。でも、本当にいいものは現役で残した方がいい。採算が合わないとかいろいろあるんでしょうけどね。でも、489系にしても0系にしても、1編成くらいは残して動態保存して欲しい。欧州は古い電車が残ってるんですよ。

杉山:古い車両は、今まで乗ってきた人々の「想い」も乗っている気がします。

竹山::日本の技術は、戦前戦中の航空機開発から新幹線につながったわけですね。車体の振動をなくすにはどうするか、という部分でゼロ戦の技術が入ってる。そこに開発者の思いが入っている。はやぶさとか、ゼロ戦とか、ああいうのを処分するんじゃなくて、残さないとね。鉄道だってそうですよ。

少年時代の思い出の地へ旅立つ主人公を前川清さんが演じる(C)2012「旅の贈りもの 明日へ」製作委員会

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