「GKB47」――。
ご記憶にある人も多いだろう。これは「ゲートキーパー・ベーシック」の頭文字をつなげたもので、それに某アイドルグループを真似た数字を加えたものだ。なんとも安直すぎるパクリと「ゲートキーパー・ベーシック」を47都道府県で増やそうというなんとも苦しい後づけ的な意味で、全方向から批判が集中。支援団体などから「自殺問題をバカにしているのか」などと抗議が殺到して取り下げられた幻のキャッチフレーズだ。
今年2月に勃発したこのGKB騒動のおかげで、それまで見向きもされなかった「ゲートキーパー」という言葉に注目が集まった。この概念を知り、身近な人に声をかけたことで自殺が防げたというケースがないとも限らない。そういう意味では、これは間違いなく民主党政権の手柄だろう。
だが、これだけで9カ月間も自殺者が減っていくというのは疑問である。実は、たまたまGKBが注目されたので、民主党は自殺対策のイメージが強いが、自民党だってやっていないわけではない。
代表的なのが2008年の麻生政権時代、地域自殺対策緊急強化基金だ。これは3年間で予算100億円を投入するという分かりやすいバラまきで、実際にそれを活用した対策事業が全国で展開されるようになったのである。
どんな支援の現場でもそうだが、そこで戦う人にとってまず欲しいのは人とカネだ。石の上にも3年ではないが、この100億円が3年を経過してようやく身を結んだという見方だってできなくもない。
なんて話を聞くと、「じゃあ自民も民主もそれなりにいいことしているじゃないか」と思うことだろう。確かにそのあたりに異論はないのだが、「自殺者が減少傾向」と言いきってしまうことに抵抗がある。正確には、そうとも言えないからだ。
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