コラム
» 2012年12月11日 08時02分 公開

窪田順生の時事日想:「自殺者が減っている」はウソ? 変死体が増えている (3/3)

[窪田順生,Business Media 誠]
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「変死体」が増えている

 自殺者の数は警察庁が発表するのだが、実は彼らはもうひとつ「死」にまつわる統計を発表している。それは「死体取扱状況」だ。最新の平成23年のデータでは、全国の警察で17万3735体(交通事故、東日本大震災関係除く)の死体が扱われている。この数は年々増加していて過去10年間で最も多い。その中で同様に年々右肩上がりなのが、「変死体」だ。2011年には2万701体もある(警察における死因究明等の推進・平成24年11月16日)。

 「変死体」というのは、殺害なのか病死なの分からない死体のことだが、実はここにかなりの「自殺者」も含まれており、半数ぐらいはそうではないかという指摘がある。

 これはなにも勘やあてずっぽうではなく、WHO(世界保健機構)がそう言っていて、総務省が出した「自殺予防に関する調査結果報告書」(平成17年12月)でも、「変死の原因の約半分は自殺」と引用されている。

 このWHO理論で言えば、日本の場合1万人ぐらい自殺者数が上乗せされる。自殺者数が減少傾向にあっても変死体が増えているのだからなにも変わらないというわけだ。もちろん、そんなもんいい加減だという批判もある。ただ、孤独死や自殺の現場を取材した経験から言わせてもらうと、半分まではいかずとも3割ぐらいは「自殺者」ではないかと思っている。

 遺書もなく崖から転落し、数日後に水ぶくれした遺体であがった若者。ワンルームマンションで半月以上放置され遺体が腐敗してしまったOL。誰に助けも求めずに寝たまま亡くなった老婦人……もしかしたら自殺なのかもしれないが、彼らの多くは「変死」扱いで2万人の1人としてカウントされる。

 尼崎の事件で、沖縄の海に転落死した男性が、角田被告たちから飛び降りを強要されたのか、保険金目的で自ら死を選んだのか、さまざまな憶測が飛んでいるが、「限りなく殺人に近い自殺」も確かに存在している(関連記事)

 次の政権には、自殺を減らす取り組みはもちろんこれまでどおり進めて欲しいが、「変死」も減らす取り組みも期待したい。

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